第16話 学校生活③
日野は気の良い友人達と一緒に学食に向かっていた。
途中で誰かが言い争っている声が聞こえたので野次馬根性丸出しで見学をする事に決めたら、後輩の現道優が居る。そして一年生同士が喧嘩に発展しそうな勢いだった。
「チィ、止めるか」
そう言って友人達と一緒に喧嘩を止める事にした。
「なにしてんだ?」
「日野さん!」
「おう、現道。こんな所でなにしてんだ?」
日野は茶髪で不良の様な格好で、気の良い友人達も気合入っている不良っぽい友人だ。
そんな迫力ある上級生が間に入って喧嘩を止める。
「こんな所で喧嘩なんかするな。先公に見つかったらうるさいだけだぞ」
日野は連夜と竜吾を睨みつけ、次に優のクラスメイト達を睨みつけた。
「スゲーな、日野が喧嘩を止めるなんて」
「日野の事だから喧嘩買うと思ったんだけどよ。止めるなんて大人になったな」
「当たり前だろう。下級生の喧嘩なんか買うかよ。雑魚潰しても面白くないだろう。それで現道、喧嘩の原因はなんだ?」
「え、あ、昼ご飯を食べようとしたら、奢る事になって、奢ろうとしたら、断られて」
「意味分かんねーよ。なに言ってんだお前。……おいお前、そう、お前だよ。説明しろ」
日野は連夜に事情を聞く事にしたが、
「関係ないだろう! なにいきなり入って来て仕切ってんだよ! 二年だが関係なガフッ!」
「おいおい、後輩よ。オレは説明を求めているんだ。なに怒ってんだよ。カルシウム足りてるか?」
反発した連夜はいきなり日野に腹を蹴られた。それを見た竜吾は正当防衛が成立したと思い日野に殴りかかろうとするが、日野の友人に腕を掴まれて「何してんのかな? 後輩君」と言って阻まれてた。
「おら、なにをしてたんだ? 良いから先輩に言ってみろ。ちゃんと聞いてやるかな」
腹を蹴られてうずくまっている連夜に迫力ある日野の言葉を無視して殴ろうとするが腕を取られた。そして握力を込められて連夜は痛がる。
「今年の新入生は喧嘩っ早いな。おい、そこの現道の友人っぽい奴。事情を説明しろ」
優の横に居たクラスメイトに事情を聞く日野。優に奢らせようとしたので止めたら騒動になったと説明した。
「……なんだよ。奢ってほしかったのか? だったらオレが奢ってやろう。オレって良い先輩だろう」
握力を弱めて連夜の腕を放す。日野の友人達も竜吾を放した。日野は連夜と竜吾を連れて行こうとしたが、二人は日野達から逃げ出した。
「せっかく後輩におごってやろうと思ったのに断りやがって。今年の後輩は謙虚だな」
日野の言葉に笑う日野の友人達。
「せっかくだ。現道、奢ってやる。それからその友達もな。一緒に飯でも食おうぜ」
「なんだよ、日野。オレ達にも奢れよ」
「そうだぜ、ケチ臭いぞ」
「分かったよ。奢ってやるから、行くぞ。おら、お前等も来いよ」
そして今日の昼食は日野の友人達と一緒に取る事になった。
日野の友達は不良っぽい人達だけど楽しい人達だった。優のクラスメイトも溶け込んで仲良くなっていた。
「日野さん、奢ってもらってありがとうございました」
「別に良いよ。また後でな」
そう言って日野達はと別れた。見た目は怖いけど楽しくて面白い先輩達だった。優のクラスメイト達もそんな事を言って、教室に戻るまで先輩達の話題になった。
優達は日野のお陰で楽しい昼食を取れて嬉しい気持ちだった。
その日の夕食前。優が勉強をしていると寮の下の階から声が聞こえた。
「お兄ちゃん! 小遣いの催促ってなんなの! もう使い切ったの!」
「ちょっと必要だったんだ。昼飯を皆に奢ったら昼食代が無くなって、小遣いから出して……」
「なに馬鹿なことしたの! 昼食代はお小遣いとは別なのに! どのくらい使ったの! …………。お昼ご飯代だった家計の負担になっていること知っているでしょう! お弁当の方が安上がりなのに!」
「悪かったって。だからこれにサインを」
「こんな馬鹿なことしたのに貯金利用のサイン貰えると思っているの! お兄ちゃん正座!」
優は日野とエマとのやり取りを聞いて、今日奢ってもらった昼食代の件で兄妹は喧嘩をしていると知り、優は急いでエマに事情を説明して頭を下げた謝罪した。
「……優さんに免じて私がお兄ちゃんの昼食代とお小遣いを渡します。このお金は私が工面したタンス貯金から出すから、お兄ちゃんは私に借金を負ったわ。来月からお小遣いを千円ずつ引いて返済するように!」
優のお陰で兄妹喧嘩に決着がつき、日野から感謝された。
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