第14話 学校生活①
翌日の実力テストの日。
「初めまして、このクラスの担任の車田轟(クルマダトドロキ)だ。よろしく頼む」
「先生、昨日はどうしたんですか?」
「副担任の新家先生をディナーに誘ったら、返事は左フックと右アッパーだった」
副担任をナンパして、担任がノックダウンされたと判断したクラスメイト達。
「それよりもテスト前に昨日説明出来なかった事を説明する。実力テストが終わったら魔力の適正を行う。自身の魔力がどの適正なのかを調べるのだ。これによって得意分野が決まるので、その分野の訓練を選択する。部活でも魔力適正に合った部活など……」
最後のテスト勉強時間が無くなり、一部の生徒が担任を恨んだ。
そんなこんなで二日間のテストが終わった。
探索科のクラスメイトは午前中で授業が終わり、担任の指示で魔力の適正を受ける為に体育館に行った。優と市太郎は特殊探索科専用の実習室に向かう。
実習室にはリナと日野が先に集まっていた。
「遅くなった。では着替えて基礎訓練を始めるか」
市太郎の合図で日野のたるみ切った「へーい」との返事と、リナの明るい「はーい」という返事。優は頷き、男女別に体操服に着替える。
学校のグランドに出て準備体操後に、
「ではランニングからだな」
日野とリナと市太郎はリュックサックに背負う。
「市太郎君。そのリュックサックは?」
「これは重り入りのリュックサックだよ。基礎が出来たら優君にも背負ってもらう」
見た目重そうなリュックサック。いったい何キロあるのだろうか? と優は思った。
そして四人で走るが、体力が少しずつ減り優は皆から遅れていく。
時間が経つと次にリナの走る速度が遅くなり、更に時間が経つと市太郎と日野が走るスピードも落ちる。
その頃の優は走り疲れてダウンしていた。
「ふむ、優君の最初の目標は二時間の走り込みと軟体だな。リナ君と日野は重りを追加しても良いかもしれないな」
市太郎は飲料水を皆に渡しながら言った。
「私、無理。これ、以上の、重りは、勘弁、して」
「オレも三十キロの重りで止めてくれ」
倒れながら三人の会話を聞いている優。三十キロの重りのリュックサックを背負って長時間ランニングしていた事に驚いていた。
「優君。最初は体力をつける為にランニングだ。探索者は一に体力、二に体力だ。それから体が硬いから柔軟にも力を入れよう」
市太郎の体育会系の言葉に返事をする体力がない優。本当についていけるのか心配になる。
「次に敵の攻撃を避ける為の回避術だが、新家先生が用事で外出中だから残り時間はランニング……」
「すまない、遅くなった」
市太郎の話を遮り、副担任の新家先生が来た。
「どうでも良い会議だった。なんだよ、ダンジョン攻略中のアルコール飲酒に対する危険性とその利点って会議なんて意味あるのか? 最後は殴り合い一歩手前になって飲み比べで決着をつけるって馬鹿か? 阿保か? 開催した奴ら死ねばいいのに」
木刀を握りしめ恨み節を告げる新家先生。
「私だって飲みたかったのに……。なにが危険性だ? そんなモノ飲めない辛さで集中力が途切れる事だ! なにが利点だ? 他人が飲んだら飲みたくなるだろう!」
「お姉ちゃん、落ち着いて」
「学校では先生と呼べ! この怒りと恨み……。お前達で晴らしてやる!」
木刀を振り回しながらリナと日野に攻撃を仕掛ける。副担任の激しい攻撃を避け続ける二人。それを見学する優と市太郎。そして市太郎は言った。
「これが回避術だ。モンスターの物理攻撃を避ける特訓。今日は新家先生一人だけど、探索者五人から攻撃を避ける訓練もする。優君も頑張ろう」
必死で攻撃を避けるリナと日野。怒りで笑いながら攻撃を仕掛ける新家先生。
そしてグランドの外で同情的な表情で見学している在校生達。
優は訓練を続けられるのか本当に心配になった。
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