第8話 特殊探索科②

 日野ひまわりが呆れる。


「本当にこんな貧弱で大丈夫なのか?」


 入道護道が現道優を診断する。


「……ただの気絶だな。じきに起きるから問題無いだろう」


 新家リナが心配する。

「訓練も心配だけど、イチ君や先生のシゴキに付いていけるかしら?」


 山田市太郎が皆に言う。


「現道優君には才能があるし根性もある。訓練も彼に合った訓練をするから問題ない」

「お前よりも才能があるのか?」

「愚問だな、日野君。私よりも才能がある。今は弱いが将来は必ず強くなる。体も心も」

「それよりも優君に合った訓練法が心配だね。……思ったんだけど私達がやった訓練よりも過激度は上? それとも下?」

「…………」

「答えろよ! 山田!」

「アレ以上酷い訓練を強いると優君死んじゃうよ! 私達も死ぬかもって何度も思ったのよ!」

「心配無用。体力を回復する栄養剤は用意している」

「……ふむ。回復力は有るようだな。もうすぐ目覚めるようだ」


 入道の言う通り優は目を覚ます。そして周りに皆が集まっている事を不思議に思った。

 医者である入道が優に質問をする。


「現道君、体に痛い所はないかね? 指は何本だ? 気絶前のことを覚えているかい?」

「……痛い所はありません。指は二本です。って気絶していたんですか!?」

「その通りだ。気絶した時間は三分くらいだな。若いだけあって回復が早いようだ。それで気絶前の出来事を覚えているかい?」

「……山田君が先生だと」

「記憶も問題無いな」


 入道は皆に問題無い事を告げる。そして優を席に座らせた。


「では説明会をする。全員席に座ってくれ」


 市太郎が皆を席座らせようとすると、携帯電話が鳴った。持ち主である入道が電話に出る。

「もしもし。……急ぎだな。すぐに戻るから準備をしていてくれ。……分かった、では」


 と言って入道は電話を切る。


「せんせー、授業中はマナーモードだよ」

「すまないな、リナ君。山田君、急患で私は病院に行く。すまないな」

「分かりました、入道先生。ですが自主訓練だけは忘れずに」


 入道は頷いて部屋を出て行った。


「入道せんせーは忙しいね」

「同感だな。飯食う時間を作って寝る暇を惜しんで働いているからな。そのうち倒れるんじゃないか?」

「問題無い。その為の回復薬や栄養剤の開発に成功したのだ。それに医者だから倒れても周りの医者が治してくれるはずだ」


 忙しい入道に同情するリナと日野。それを当たり前の様に言う山田に、


「倒れないように訓練手加減しろ!」

「もっとゆとりを持って訓練しようよ!」


 日野とリナが反論する。それをすまし顔で無視する山田。席に座ったままで皆を見る優。

 ……説明会はまだ始まらない。

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