第7話 特殊探索科①
生徒たちによるホームルームを終えた優は明日の実力テストの為に帰って勉強をしようと思った。
クラスメイトは友達を作り、グループが出来上がっている。
内気の優はクラスメイトと話す事が出来なかった。中学校の時は幼馴染と一緒のグループが友達だった。優本人は友達だと思っているが、幼馴染達はパシリに使える下僕と思っていた。
優が帰ろうとしたとき、声をかけられた。
「現道君、良いかな? 特殊探索科の説明があるから、実習室に来てくれないか? 私も後から行くから」
山田市太郎から言われて優は教えられた実習室に向かった。
ノックをして実習室に入ると入学式前に会った美少女とヤンキー風の茶髪の男性が居た。
「優君だ! 改めて入学おめでとう。そしてようこそ、特殊探索科へ!」
新家リナが祝ってくれた。そして席へ座らせる。
「ほら、ヒー君も自己紹介!」
新家リナにヒー君と呼ばれた男性は「チィ」と舌打ちをして「日野だ」と言って窓を向いた。
「ヒー君の名前は日野ひまわり。私の一個上だけど留年して二年生よ」
「新家! テメェ!」
日野は名前で呼ばれることを嫌っていて、自己紹介も苗字だけで済ませたかったが、リナが名前を告げ、留年とその理由まで言った。
「ヒー君は他の高校を退学になって探索者高校に入学したの。喧嘩で停学になって、盗んだバイクを乗り回して喧嘩して退学してって馬鹿だよね。退学後は中卒で社会の荒波にもまれるはずだったのに、魔力量ゼロだったから特別推薦で探索者高等学校に進学しなおしたの」
「退学か他校に進学の二択だぞ。入試試験無し進学を選ぶのは当たり前だろう。探索者には興味あったしな。……それでお前は?」
優は自己紹介を日野にする。
「現道優か。現道って苗字はイカすな。オレの事は苗字で呼べ。名前で呼んだらぶん殴るぞ」
「は、はい、よろしくお願いします。日野さん」
ヤンキーのような顔に少し怖がる優。
「こら! ヒー君。優君が怖がっているじゃない! フレンドリーな顔で優しく話しかけないとモテないわよ」
「うるせーな。どうでも良いだろうが!」
二人の口喧嘩が始まり、優は止めようとオロオロしていると人が入って来た。
「少し遅刻したかな?」
スーツの上に白衣を纏った男性が入って来た。
「せんせー。お久しぶり」
「よお、先生」
優は先生というので特殊探索科の先生だと思った。そして先生と言われた男性が、
「君が新入生か。初めまして特殊探索科の生徒の入道護道(ニュウドウ ゴドウ)だ。ダンジョン管理省医療課で魔力病に関する研究をしている。よろしく」
優は先生だと思っていた人物が生徒? それも大学の先生? 訳が分からなくなった。
「私も魔力量ゼロだ。しかし魔力が無いからこそ出来る事が有ると分かり、特殊探索科で勉強をしているのだよ」
「優君。入道せんせーは魔力病に関する病気のスペシャリストなんだよ。そして治療不可能といわれている魔力病の治療に成功した唯一のスーパードクターよ」
「偶にテレビに出ているぞ。治療不可能と言われたナントカっていう症状や、ナントカっていう病気の治療法を開発したってテレビで言っていたぞ」
有名らしき医者本人から特殊探索科の生徒と言われ、リナと日野からテレビに出るくらいの有名人だと聞かされて混乱する優。
混乱し理解が追い付かない優。そして山田市太郎が実習室に来た。
「すまない、校長と教頭に説明する事があって少し遅れてしまった。……全員そろっているようだな」
山田市太郎は優と同じ新入生なのに全員と顔見知りで驚く優。
「全員がそろった所で改めて、優君に自己紹介を頼む」
山田市太郎は教壇に立ち皆に言った。
「二年の新家リナです。よろしくね、優君」
「二年の日野だ。名前で呼んだらぶん殴るからな」
「二年の入道護道。私は特例で午後の訓練にしか顔を出さない。後、急な手術があると欠席するがよろしく頼むよ」
「一年の山田市太郎だ。特殊探索関係の研究者で学校では副担任補佐も務めている。特殊探索科の講師と訓練も担当している。よろしく頼む。最後は優君だ」
優は返事が出来なかった。同じクラスメイトの友達予定の山田市太郎が、先生という立場だった事に驚きを通り越して気を失ったからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます