第2話 生涯心拍数は決まっている

この説には賛否両論あるようで、

現代でも答えが出ていないらしい。

だが、俺には何となく説得力があるように感じた。


俺は再び、モニターを見た。

モニターは相変わらず、俺の心拍数を

文字通り機械的に表示している。


この数字を足していけば

俺の心臓が何回動いたのかが分かるというわけだな。


そんなことを考えていたら、

ふと、小学生の時に言っていた

こんな言葉を思い出した。



「それいつのこと~?

 何時何分何秒?

 地球が何回回った時~?」


誰もいない病室で、俺はクスっと笑った。


「俺が死ぬのはいつのこと~?

 何時何分何秒?

 心臓が何回動いた時~?」


そうつぶやいてみた。

この病室は個室だ。

答えてくれる者は誰もいない。


ピッ ピッ ピッ ピッ ……

機械の音がさっきから無情に鳴り続いている。


「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇回ですよ」

どこからか、そんな声が聞こえてきた。


ばかな!

ここには誰もいないはずだ。

誰だ、そんなふざけたことを言うやつは。

俺は病室を見渡した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る