139 石を切れ
「これ……か?」
『覇気』で魔物を追い払いながら伐採しつつ突き進んでいると、岩肌がむき出しになった斜面を見つけた。
「よし、それじゃあ……」
『ゲーム』を起動。交易掲示板を利用してつるはしを取り出す。
これは鉱石とか石材とかを採取するときに使うアイテムだ。
木を切る斧だって使えたんだから、これも……って。
「んん?」
斜面の上からなにかが現れた。
いや、生えた?
なんか変な現れ方をしたような?
『ロックガリア:合成スキルで生まれた魔物。ロックじゃないね』
もうツッコまないぞ!
いや、それより合成スキル?
なんかちょくちょく見かけるけど、なんなんだ?
「「「ロゴアラァァァァァァァァァ!」」」
うわ、なんか次々現れたぞ。
体のあちこちが岩の肌になっているガリアが次々と現れて、向かってくる。
手にはつるはし。
「このままやったらぁ!」
『血装』で強化して迎え撃つ。
十数分後。
「……ええ」
目の前にできた血泥と岩の山を、俺は疲労困憊で見上げていた。
なんか、勢いで一人でやってしまった。
なんで、ブラッドサーバントとかクレセントウルフとか出さなかったんだろう?
なんかどんどん増えていく。
↓
だいじょうぶだいじょうぶ。
↓
なんかまだ増えるんだけど?
↓
いや、なんとかなる……よね?
↓
まだ増える⁉
↓
こうなったらとことんやったらぁ!
なんかそんな感じだったんだけど……冷静さって失ったらだめだよね。
血泥に混ざった岩はロックガリアの体に張り付いていたものだったんだけど……。
「これ、足りるんじゃないかな?」
試しに『ゲーム』を起動して入れてみるとクエストの岩の部分が達成に変わった。
ここに来るまでに伐採した木も達成していたので、残るは鉄だけ。
商業ギルドが集め終わるのを待つだけなんだけど……。
「もう終わりなんだけど……」
とりあえず、このまま帰るのはしんどい。
ちょっと休憩したい。
『樹霊クグノチ』の『植物操作』でツリーハウスを作って、中に入る。
ハウス内のかまどで湯を沸かしつつ、ご飯のことを考える。
なに食べよう?
甘いものも食べたいような。
でもそれはデザートなような。
デザート以外もちゃんと食べたい。
がっつり食べたい。
つまりそれは……。
「……肉だ」
そしてご飯も。
となったら焼肉定食だよね。
キャベツとかもやしと一緒に焼き肉のたれで炒められた牛肉。
鉄板皿からジュウジュウ音と湯気が溢れてる。
熱々のそれを箸で掴んで、あえてご飯の上に一回置いて、食べる。
そしてご飯も口に入れる。
美味し。
口内調味を考えた人は天才だと思う。
食後のデザートは焼き肉のたれ味の口をさっぱりさせるために……シャーベットだ。
レモンのシャーベット。
酸味が爽やかです。
「はぁ……満足」
ほっと息を吐いたごろには竈にかけていた湯が出来上がっているので、ちょっと冷ましてから体を拭く。
「ああ、お風呂」
お風呂のある家が欲しいな。
「今度こそ王都に家を……って」
商業ギルドで買う鉄の代金でけっこう飛ぶからなぁ。
またしばらく貯金の日々か。
「まっ、それも仕方なし」
だけどお風呂はどうにかしたいなぁ。
温泉のある街ってないのかな?
あんまりそんなの気にしたことなかったからなぁ。
今度、祖王に聞いてみよう。
あの人も元日本人なんだし、きっとお風呂や温泉にロマンは求めていたはず。
「聞いてみようそうしよう」
さて、後はもう『ゲーム』の日課をこなしたら寝よう。
そうしよう。
夜の見張りはクレセントウルフに任せてあるし、問題なし。
おやすみ!
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