第10話

「ごめんね。ずっと奏多に頼りっぱなしで。」

「ううん。頼ってくれて俺は嬉しいよ?」

「あはは。ありがとう。」

奏多は私を空き教室に連れてきて、私はスッキリするまで泣いて奏多は寄り添ってくれた。

私は雪さんの言葉を思い出した。

生まれた時間のズレは愛する対象を変える……雪さんは予想していたんだ。きっと。

「俺はいつでも梨都の傍にいる。」

と言い私の手を包み込んだ。真剣な奏多を見るのは初めてだった。私は戸惑い目線を逸らす。

「俺の傍においでよ……」













「大丈夫?俺体育館まで送るよ?」

「大丈夫だよ!奏多は心配性だな〜!」

部活の時間になり私は急いで体育館に向かおうとしていた。するとそこには

「川口さん……」

「あ!やっと来た!!あなたがバスケできないように土足で体育館に入っちゃった!ちょうどあなたの靴を履かせてもらって体育館で脱いだからあなたのせいになって部活辞めさせられるかもね!」

この人は……自分が欲しいものを手に入れるためにはこんなことするまでなんて……私は落胆してしまった。しかし

「あーあ。今の聞いちゃった。」

そこには

「ルナさん!セイさん!!」

女バスの頼れるリーダー的存在の2人がいた。

「うふふ録音もしちゃった〜」

「本当に楽しいことしてくれたわね?」

「ちっ」

と言い川口さんはその場を去ろうとしたが、

「莉子……それになぁちゃん……みんなも……」

「今度は助けられてよかった!」

「ここから通させないよ。」

と女バス全員がいた。これほど頼もしい人たちはいない。怖いものはないと思った。だが

「うえ〜ん!!女バスがいじめてくる〜!」

と大きい声で言いするとそこに近くにいたサッカー部が先生を呼び近くにいたサッカー部全員が川口さんを守るように私たちの前に立った。

「お前らなにやってんだよ!」

奏多も樹も来た。だけど奏多は

「俺は絶対梨都……女バスの味方です!俺は絶対あの女を許さない!」

「わーん。怖いよぉ。」

と近くにいた樹を抱きしめる。この人は……

本当に最低だ。

私は堪忍袋の緒が切れた。

「あーあ。本当にダル。お前なんなの?女バスにいじめられるーって。つーかいじめられたならその内容言ってみろよ。あ?」

これには周りの人もかなり驚いたみたい。私の地元は治安が悪かったからこんなの普通だった。

「え、えっと……それは……」

「は?いじめられたくせにすぐ言えねぇの?もしかしてー?嘘?ついてるんじゃねぇの?」

「……っ!」

「あれれ?図星ですかー?これだから馬鹿は嘘つくのが下手なんだよ。もっと頭が良くなってから私にケンカふっかけろよ。」

「あ、あるわよ!証拠!ほらここの傷なんか……!」

「はぁ?つくづくと馬鹿だねぇ?この傷は私がつけるには無理があるわよ。こんなに深い傷は障害物と接触して事故を起こさないかぎり無理がある。」

「あんたのせいよ!だからゴールの鉄の部分を点検してるあのくそじじいたちにお願いして緩くしてもらったのに!……あ!!」

全ては仕組まれていた。コイツのせいだった……

「ふん!別に私は令嬢よ?こんなのお金で解決できるし、きっとあなたたちの家もお父様の力でつぶ……」

「ねぇ?あなたいつまで馬鹿なの?」

「え!?なにがよ!」

「だから録音されてるってこと気がつかないの?」

そこにはルナさんのスマホの録音機能がスタートしていた。

「そんなのお金で解決でき……」

「もしもーし。あ、乃々華お姉ちゃん?ちょっと潰して欲しい人がいて……川口っていう家のところ……え?もう始末済み?りょーかい」

電話していたのは樹だった。樹は御曹司だった。だけどこの展開で私たちの味方になるなんて……樹は私にあるサインを出した。













それは付き合い始めたときに決めた「ごめんね。」

のサインだった。

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