第9話
やっと見つけた運命の人そう思ってた。だけど私のせいであんなことになるなんて思わなかった。結局あのまま樹は7ヶ月経っても私を思い出せなかった。今年もクリスマス過ごせないのかな……。だけど1つ進展があって私以外のことは思いだせたらしい。だけど愛する人に忘れられるなんて……私はズキっと心を痛めた。いつまでこの苦痛に耐えればいいのだろうか。そんなとき
「顔色悪いね。大丈夫?」
と奏多は私の顔を見てそう言った。そのとき樹が私と違う女の子と仲良く話しているところが見えてしまった。あの子はたしか学年一の美女の
「梨都……これ以上泣かないで。」
と奏多に言われて気がついた。自分が泣いていることを。
「うっ……もうやだ……私がいなくなれば……あのとき……」
私は泣きそうになった。すると川口さんがこちらに気づき私の元に来て
「あんたのせいで九蘭くんがいなくなるとこだったわよ。本当に目障り。」
「おい……」
と奏多は私の目の前に立って壁になってくれた。だけど私はもう言い返すほどの力もなかった。そして樹み川口さんに加勢し
「お前さ、俺の視界から写るなよ。お前のLINE消しておいたから。」
と追い打ちをかけた。私はもうダメだと思った。すると奏多は
「なら梨都は俺がもらうから。」
と言い奏多は泣いている私の腕を引っ張り急いでその場を立ち去った。奏多は去り際に樹になにか言っていたが、私には聞こえなかった。窓越しに見える雪は水気を多く含んでいて泣いているように見えた。
樹side
学年一の美女と話せるって俺ラッキーだな。だけどなぜか罪悪感を感じる……。それになにか忘れてるような……。するとそこにいたのはあの女と奏多だった。俺がその2人を無意識に見ていると川口さんが
「うわ〜彼氏に振られたからってすぐに違う男にしっぽ降るってどうかしてるわ〜」
「え?」
「あ!いやなんでもない!ちょっとあの女目障りだから行ってくるね!」
うわ〜女って怖い。だけどそのときばかり俺は川口さんに心の中で賛成してしまい、あの女にひどいことを言ってしまった。だけど知らない女に関わるほど俺はチャラ男じゃない。それとあの女にLINEの連絡先を消したって言うのも嘘だ。川口さんにそのことを言うとなぜかマズイ気がした。それにあの女が送ってくれた動画や写真の履歴を見る度になぜか悲しい気持ちになる。奏多は去り際に
「あーあ。せっかくチャンスあげたのにな〜。馬鹿な樹。」
と言った。
むかつくと思いたいところだったが、なぜか喪失感が生まれた。すると川口さんは俺の腕に絡みつき
「ねぇー!私に美奈に集中してよぉ!」
「あぁごめん。」
川口さんから甘ったるい香水の匂いがした。普通の男ならもうこの香りだけでも虜になるだろう。だけど俺が好きな匂いは……
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