第2話
「ありがとうございました!!」
体育館に大勢女子の声が響く。ここは女バス専用体育館で私たちは毎日練習している。県大会では1位だし、全国に出たことだってある。強豪校なので毎年大勢の人が集まる。AチームとBチームに分かれて練習することがほとんどだが、今日はみんなで練習だった。ちなみにBチームはユナイトっていう名前でAチームはジーニアスだ。私たちはチーム全体のことを指すときやどっちに所属しているのか?と聞かれたときにこの名前を出すことが多い。
「ユラ!」
と私をコートネームで呼んだ
「はい!ルナさんどうしました??」
私はルナさんのほうへ駆け寄ると
「いつものアレ、来てるよ」
とクスクス笑いながら指を指すほうを見るとそこには
「樹!!なんで!?」
「会いに来た。」
とサッカーの練習着を来ている樹が体育館の外から顔を出していた。ルナさんはよく樹を見ては私を呼ぶ。いいんだか悪いんだか……樹は私を見て
「疲れた〜!……癒させて」
と言い私をギュッと抱きしめる。私はされるがままお互いなにも言葉を発さなかった。冬でも少し汗をかいていたが気にせず私を抱きしめる樹。
「ういー!ユラの彼氏かっこいいー!」
「サキー!!あっちいけ!!」
とちゃかしてきたのは同期の
「もう!!樹そろそろ離して?」
「……今日昼寝したときなぜか梨都が俺から離れていく夢見て……」
私は樹の背中に手を回し背中をポンポンとリズム良く優しく叩く。
「大丈夫。私はどんなときでも樹の傍にいるよ。」
と笑顔で言った。しばらくすると樹は私を離し
「じゃあまたな。」
「うん。またね。」
と言い樹は夜の闇へ消えていった。
「あー!!今日も疲れた!!」
と同じルームメイトの
「もー、莉子それめっちゃ言うじゃん!」
「だって〜!今日キツかったよ!!」
とベットでゴロゴロしながらそう言う。たしかに今日はトレーニングからの練習でかなりハードだったから仕方がない。しばらくすると莉子は寝てしまった。私はこの隙を毎日狙い窓を開け隣の棟の窓を叩くすると
「よ!まってたぜ」
と樹が出た。実は私たちの隣の棟は男子サッカー部で付き合ってからお互いが隣だということに気づいた。
「もー私眠いから!」
「あともう少し待てよー!あ!流れ星!!」
「え!?どこ!あ!あった!」
今日は樹の予報だと流れ星が見える可能性があると言っていて私たちは必死に星を探す。すると空から雨のごとく流れ星が見えた。私は心の中で
「樹の隣にずっといられますように」
と唱えた。樹はなに?と聞いたとき樹は恥ずかしがって教えてくれなかった。もちろん私もだけど。
ずっと一緒にいられると思った。当たり前に傍にいて笑い合うこと、喧嘩すること、辛いことを乗り越えることもできると思ってた。2人でいると嬉しい気持ちになれた。
だけどこの手を離すだなんていう選択がくるなんて……
空に輝いている流れ星が涙のように流れた。
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