第1話

「うわ〜!!また負けた!!」

「俺は天才なんだよ!」

教室中に私と彼の声が響いてクラスメイトは私たちを見て笑う。

「この野郎〜!!まさかテストカンニングしてへんな!?」

「してねぇわ!この勝負俺の勝ち!」

私と張り合っているこの男九蘭 樹くらん いつきは頭もいいし、運動能力はずば抜けている。

「つーか梨都りと、次英語のテスト返されるぞー」

「うわ!!無理ぃ!!」

林 梨都はやし りとは毎日樹とこんな風に過ごしている。実は私たちはカップルなのだが、なぜかいつも張り合い、カップルらしいことは一つもしない。私たちは同じ高校で同じクラス。しかも隣の席。樹と顔を会わさない日なんかない。私たちは運動部が強い学校に通っていて、スポーツクラスだ。世間ではスポーツクラスは頭が悪いと思われがちだが、ここの学校はスポーツクラスが1番頭が良い。頭脳においても運動においても優秀な人物を生みだす、これがこの学校のモットーだ。

「国語96、英語98、数学99、理科92、社会100ってユラは優秀すぎて怖いわ〜」

「なぁちゃんも頭いいでしょーがー!」

私の前に座っている東雲 七瀬しののめ ななせは背が高く、私と同じバスケ部。普段は静かであまりみんなの前では喋らないが、話しかけるとこれがまぁよく喋る。なぁちゃんは女バス1年生の中でもAチームでプレイしている。背が高いことを利用したリバウンドと、ディフェンス、それに理解の早さは人並み以上だ。あ、ちなみにユラっていうのは私のバスケ部での間のコートネームでちなみになぁちゃんはリン。

「次体育バスケだから九蘭に勝負してきなよ」

「あ!その手があった〜!」

私はニヤッとして悪巧みをした。チャイムが鳴り私となぁちゃんは体育館に向かう。私は体育館に着くなり樹に勝負に誘った。

「樹〜勝負しよ〜」

「さっきのテストで俺に負けたから得意なもので勝負をしかけるわけか……この脳筋め」

「……私これでも上手いほうなんやで。絶対ぶっ潰す……」

その日の授業は1on1をやっていた私たちに先生が声をかけても終わりが見えなかったため、みんながギャラリーで見学し、盛り上がってしまった。













「うわー!負けたー!」

「はー!スッキリしたー!」

「お前卑怯だぞ」

「勝ってなにが悪いんですか〜?」

「こんにゃろ〜!」

私たちは汗をかいたのも関係なくじゃれあっていた。毎日樹との日々は幸せを感じた。



ケンカしても、お互いが辛い時でも、やらかしたときでも













私は樹に

「大好き」

と言った。












樹は私を見て微笑んで

「愛している」

と言い私のおでこにキスをしてきた。

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