6. 妖精からの贈り物
「加護が……ない?それってどういうことなの?」
ミオがそう聞くと、ロロンとフェルはお互いに顔を見合って、唸っていた。
「んー、どうやって説明したらいいんだろう……」
「そうだねぇ。あ、ねぇロロン、もう6時15分になっちゃう。そろそろ2人を元の場所に帰さないと……」
「わわ!本当だ。2人とも、明日の昼休みにここにおいでよ。明日には説明できるようにするから!」
ミオは頷いてから、ハッとする。
「また用具庫の奥に扉が現れるの?それを使ってまたここに来ればいいの?」
用具庫の奥に現れる扉を使っていくとなると、昼休みに職員室に行って用具庫の鍵を借りなくてはならない。
「あ、大丈夫。学校の敷地内からなら、どこからでもこの庭園に来ることができるよ」
ロロンがそう言うと、ヒナタは首を傾げる。
「どこからでもって……よくわからないんだけど……」
「2人とも、指を見てごらん」
フェルがそう言うので、ミオとヒナタは自分の指を見た。そして、驚いた。
「な、何これ……」
「えぇ!?指輪?いつのまに?というか、めっちゃ可愛い!!」
2人の小指には、指輪がはまっていた。
ミオの指輪は、星形にカットされた黄色の宝石がついた指輪。
ヒナタの指輪は、水晶のような透明な磨き石がついた指輪。
「それは私達からの贈り物!この庭園に来るための鍵みたいなものだよ」
「指輪がはまっている方の手で、学校の敷地内のどこかの壁をノックしてね。そしたら、秘密の庭園に繋がる扉が現れるから!」
ロロンとフェルから指輪の説明をされ、ミオとヒナタは「へ~すごい」と呟きながら、指輪を触ったり眺めたりする。
何となくミオは指輪を抜いてみようと思った。
しかし、ギッチリはまっていて、抜けない。
ミオは青ざめた。
鶯高校の校則に破ってしまう。比較的、鶯高校の校則は厳しくないのだが、さすがにネックレスや指輪、ピアスはダメだ。
「ね、ねぇ……この指輪って、抜けないの?」
ミオがそう聞くと、ロロンはあっけらかんと「そうだよ」と言った。
しかし、フェルが情報を付け足した。
「その指輪は普通の人には見えないから安心してね。妖精と契約してる人間にしか見えないようになってるから!」
フェルのその言葉を聞いてミオはホッとした。
「他にもその指輪で出来ることがあるんだけど……まぁ、それも明日話すよ!」
ロロンはそう言って、ポケットから杖を取り出して、クルクルと宙で円を描く。キラキラと金色の光の粒子が踊っている。
「扉、召喚っ!!」
用具庫で見た真っ白な扉が現れる。
「ミオちゃん、ヒナタちゃん、また明日ね~!」
ロロンとフェルに見送られ、ミオとヒナタは庭園を後にした。
2人は無事に元の場所に戻ることが出来た。
先生や先輩からちょっと心配されたが……。
2人は早く明日にならないかな、と思いながら帰宅した。
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