5. 妖精と庭園

季節関係なく咲く花、空中を泳ぐ金魚……


「ここ……どこ?」

ミオはそう呟く。

「ミ、ミオちゃん~!これ、どう見ても学校の敷地内じゃないよね!?まさか異世界?」

ヒナタがミオの肩を揺らす。しかし、ミオがヒナタの疑問に答えることはできない。

そんな時だ。


「一応、私立鶯高等学校の敷地内だよ~」


ミオとヒナタは後ろを振り返る。


そこには2人……いや、ただの人じゃない。

背中に羽、体長数センチ程度。


「よ、妖精……?」

ミオがそう呟く。

金髪をツインテールにした妖精と、銀髪をお団子にした妖精がニコッと笑った。


「ようこそー!!妖精の住まう秘密の庭園へ!私はロロン!」

「私はフェルで~す」

金髪の妖精がロロン、銀髪の妖精がフェルと名乗った。


「妖精の住まう……秘密の庭園!?まさか、鶯高校で噂されてる秘密の庭園ってここのこと?」

ヒナタがそう言えば、フェルが「そうだよ」と言う。

「えっと……何で私達、ここに来れたの?それに、妖精の住みかに私達みたいな人間が入ってきても大丈夫なの?」

ミオがそう聞けば、ロロンが答える。

「大丈夫!君達いい子だから!いい子で妖精が気に入った人間しか、この庭園には来れないから!」

「委員会のお仕事、サボらずちゃんとやってすご~い!用具庫のお片付けもしてえら~い!」

ロロンとフェルが「すごい!えらい!」とミオ達を褒める。


「ほ、褒めてくれてありがとう。あの、この秘密の庭園って一体、どんな場所なの?」

ミオはそう質問する。

「ここは~妖精が住んでる場所!それで、学校に通う学生達を見守ってるの!」

ロロンがそう言うと、ヒナタが「見守る?」と首を傾げた。


「んー、何て言ったらいいんだろう?」

「全部話しちゃえばいいんじゃない~?」

ロロンとフェルがごにょごにょ言っている。

どうやらフェルが話してくれるみたいだ。


「えっとねぇ、この鶯高校を創立した人が、住む場所がなくて困ってる妖精を助けてくれました~。創立者さんは、学校の敷地内に妖精が住む場所を提供しました。住む場所を与えるかわりに、この学校に通う生徒達を見守って欲しいとお願いしました。妖精は創立者さんの願いを聞きました。こうして、妖精は仲間を集めてこの庭園で暮らし、学校に通う生徒達が安心できるように加護の魔法を使って見守っていました~!」

パチパチとロロンが拍手するので、ミオとヒナタも拍手をした。


「すご~い!この学校って妖精の加護で守られてたんだ!」

ヒナタが瞳をキラキラさせた。

しかし、ヒナタのその言葉にロロンとフェルは表情を曇らせた。


「今は妖精の加護、ないんだ」

ロロンがそう言った。

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