2. 友達と委員会と噂
高校生活2日目
登校してきたミオが、鞄から荷物を出していた時だ。
「おはよう、ミオちゃん」
そう声をかけるのは、ミオの後ろの席に座る女子生徒だ。
彼女の名前は金森ヒナタ。
ぱっちりした瞳に肩まである髪をハーフアップお団子におしゃれにまとめ、快晴の青空を思わす笑顔を浮かべていた。
「お、おはよう、金森さん」
声をかけられると思ってなかったミオは、上ずった声で挨拶した。
「金森さん、じゃなくてヒナタでいいよ~!ヒナちゃんでも、ひーちゃんでも好きに呼んで!」
「え、えっと、じゃあ……ヒナタちゃんで」
ミオがそう言うと、ヒナタは嬉しそうに笑う。
「よろしくね、ミオちゃん!私、おっちょこちょいだから、何かとお世話になるかも……その時はよろしくね」
ヒナタは笑いながらそう言った。ミオもつられて笑う。
この学校に知り合いらしい知り合いがいないミオは、ヒナタと言う友達ができて緊張していた心に少し余裕ができた。
ホームルームまでまだ時間があるため、2人はお喋りをしていた。
「ね、ミオちゃんはどこの委員会に入ろうか決めた?」
「特には……人が足りないところにでも入ろうかなって」
ミオがそう言うとヒナタの目がキラリと光る。
「だったらさ、園芸委員会一緒に入らない?」
「園芸委員会?ヒナタちゃん、植物好きなの?」
ミオがそう聞くと、ヒナタは椅子をズイッと近づけて、声のトーンを落とす。
「あのね……私、お姉ちゃんがいて、そのお姉ちゃんの友達がこの鶯高校に通ってたの。それで、ある噂があるって私、聞いたの」
「……噂?」
怖い系の噂だとちょっと嫌だなとミオは思った。
そんなミオの不安を感じとったヒナタは、「大丈夫、怪談とかそう言った類いの噂じゃないから!」と笑ってそう言った。
「何でも、この学校のどこかに秘密の庭園があるんだって……!!」
「……秘密の、庭園?」
『秘密』と言う単語につい心を踊らせてしまうミオ。それはヒナタも同じだった。
「何だか……妖精でもいそう」
ミオがポツリとそう言えば、ヒナタも頷く。
「わかる!秘密の庭園って言うんだから、きっと幻想的で素敵なお庭だと思うんだよね~!」
「もしかして、その秘密の庭園を探すために園芸委員会に入ろうと思ってるの?」
「そう!庭園だから、園芸委員会だとわかるんじゃないかなーって!どう?ワクワクしない?一緒に園芸委員会に入ってみない!?」
「……入りたい。一緒に、秘密の庭園を探してみたい」
こうして2人は園芸委員会に入ることを決めたのであった。
「それでは、次……園芸委員会、定員2人。立候補者は……」
「はい!」
学級委員の生徒が言い終わる前にヒナタが元気よく挙手をし、ミオはそっと挙手をした。
「音木さんと金森さん以外に立候補する人はいますか?……いないみたいですね。じゃあ、音木さんと金森さんで決定ですね」
黒板にミオとヒナタの名前が書かれる。
「良かった……!無事に園芸委員会に入れたね、ミオちゃん!」
「うん……!委員会活動、楽しみだね」
2人は委員会活動が始まる日が待ち遠しかった。
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