第6話
『これから全てをお話ししますね』
笑顔に聞こえるように努力はしてみるものの、やはり読み上げ機能は機能だ。
棒読みの感情移入をした後で、何もない空間を触る。
すると周りにキーボドと四角い枠のようなものが現れる。…PCの画面のように思ってもらっていい。
『私の名前は…』
私は2人に全てを話した。私は敵組織の人造人間です、でもあなた達を探していました。私は黒花さんの記憶を持っています。話せば長くなるけど、かくかくしかじかで。私は獣人をいっぱい殺してきた。
ごめんなさいって。
あなた達に協力したいです。この状況は組織には知られていないけど、黒花さんと皆さんが生きていることは知られていると。
2人はとても驚いた様子だった。
特にカノンさんは。
そして…
一緒に死にましょう?って
彼女ナンバーはSA-0121。
人命兼コードネームはクロハ。
それは黒花の周りのもの、ヴィンデの生き残りのために作られた人造人間で、獣人を抹殺するためではなくヴィンデの生き残りを殺すために作られた。
黒花の記憶を埋め込むことでヴィンデのように組織を恨み、獣人を助ける側の人間にさせる。
そしてヴィンデの情報を掴むまではそのまま放置するが、やらなければならないこと…いわゆる使命というものは変わらない。
ヴィンデの生き残りの詳しい情報を得たときか、重傷を負った時のみ自分の使命を思い出す。
その場合、どんな状況であっても抵抗はせずヴィンデに近しいものか獣人を多く巻き込める形まで持っていき、自爆する。
そのため、彼女の体内には高威力のクラスター爆弾が埋め込まれている。
それが爆発した後、体が原型を止めていても機能は停止し、2度と目が覚めることはない。
彼女はヴィンデの生き残りを見つける可能性が高いので、位置等は常時監視。
他の人造人間とは違い、通常時は口以外操作することはできないが非常時などは体、心情等も操ることが可能。
製作日:12/2
消失確認:12/7
PW:○▷5◽︎12○
組織のためを思い行動した誇らしき同胞に、合掌。
◆◆◆
「ケホっ」
サオさん…大変なことをしてくれましたね。
やはり敵組織の刺客でしたか。
まあマツが連れてきたという時点でそうは思っていましたが…
黒花の姿は見られていないはずです。あの子の姿も。
「マツー? まさか死んでないでしょうねー? 」
「こんなんで死んでたまるかっ」
いつの間にか隣に立っていたマツは、ツッコミをするように手を動かしていた。
(まあこんな物で死んでいたらもう何万回も死んでますしね…)
「でもやっぱり敵の刺客でしたなぁ…今回は当たりだと思ったんだけど」
マツはいつも敵組織の人造人間を拾ってくる。
今回の子は本当にこっち側だと思うから!とか言って一度もそうだったことがない。
「さてと、拠点変えますか〜」
当たり前のように発言するマツの行動からも、これがどれだけいつものことなのかが読み取れる。
「というか。今回のでいくつか分かりましたね、マツはなんも気にしてないから分かってないでしょうけど」
私はそういうと、今回わかったことを話し始めた。
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