最終話
**クロードside**
「うん。ミレイユが大好きだから、自分を酷使する戦い方はやめてほしい」と、言って自分の気持ちを伝えてキスをした。
近衛兵が来るまでミレイユが大人しくしてくれるのなら、と思ってキスをした。
キスをするチャンスだったというのもあるけれど!
それがまさか聖騎士覚醒するとか思わないだろう。
前世でよくアニメで見たことのある突如覚醒、未知なる力で解決――と言う現象を体現するとは思わなかった。
まあ、その覚醒があったおかげで僕もミレイユも無事だったのだけれど。僕は魔法結界を張って彼女の盾になるだけで、結局のところ守られてばかりだった。
二日以降の狩り大会は中止し、魔物討伐編成が組まれ大々的な討伐となった。
その中にはヒロインや攻略キャラも含まれているから、シナリオの大筋は変わってはいないのだろう。
もちろん僕とミレイユは仲良く屋敷で静養するように言い渡されている。ミレイユは留守番と
その姿も可愛いのだが。お土産に持ってきたシフォンケーキをご機嫌で口にしている。これで完全に彼女の死亡フラグは回避できたはずだ。
「私も討伐に行きたかったです」
「ミレイユは僕を守ってくれるんじゃなかったのかな?」
「うっ……」
「僕の剣と言うのだから、これからはもっと一緒に居た方がいいよね」
「クロード様、つい先日は婚約破棄を言い出したじゃないですか。またコロコロ主張を変えられるのですか?」
眉をつり上げて睨むが、そんな姿も可愛い。
「(さすがに死亡確定キャラとか、乙女ゲームとかは説明できないし)あれは──ミレイユが無茶ばかりをするから、一度その役割から外れて自分を大事にしてほしいと気付いてほしかった」
「クロード様……!」
これは乙女ゲームのシナリオとは関係ない僕とミレイユのモブ同士の話。
のちに聖剣の王妃と神盾の王と呼ばれるのはまた別の話。
そしてミレイユが広めた『思い人とのキスによって聖騎士覚醒した』という話は尾ひれ背びれついて広まって一騒動起きるのも──また別の話。
転生王子は男装女騎士(死亡確定キャラ)を守りたい~最終手段は婚約破棄だったんだけど~ あさぎかな@電子書籍/コミカライズ決定 @honran05
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