第8話ついに目撃!

翌日の午前8時、我々は富大さんの案内で水龍様の社へと案内してもらった。

水龍様の社への道のりは、池から歩いて三十分の距離にあり、道中は険しい山道が続いている。

「はぁ、はぁ・・・社はこの先ですか?」

「ああ、もう後百メートル登った先にある。」

木々の茂る坂道を進んでいくと、ついに高さ五メートルくらいの小さな鳥居が現れた。

「あそこが水龍様の社です。」

鳥居の奥には小さな本堂があり、札には水龍様と書かれてある。

「伝承は本当だったんだな・・・」

山の中にある小さな本堂と鳥居は、確かにこの地にある水龍様信仰を確信させる証拠になった。

すると椿のスマホに連絡が入った。

「もしもし、三吉か?・・・えっ!?水龍様が現れた!!わかった、すぐに向かう!!」

水龍様が現れたと連絡を受けた我々は、大急ぎで山を降りて池へと向かった。

池のほとりにつくと、我々と富大さんは息を飲んだ。

「水龍様だ・・・!」

池の水面に蜃気楼のような龍の姿が現れた、その巨大で青く神秘的な姿にその場にいた全員が何もしゃべらずに見つめることしかできなかった。

それから水龍様はこちらをしばらく見つめると、空に登っていきその姿を消した。僅か数分だけの巨大な美術作品であった。

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