変わった本の読み方
本の読み方は人それぞれ。あとがきや解説から読む人、付箋を貼りながら読む人、登場人物をメモに書き出しながら読む人。
いろんな読み方がある中で、中学生のときの私は変わった本の読み方をしていました。
それは、読み始める前に、一番最後のページの最後の一行を読むこと。あとがきではなく、物語の一番最後の行です。
どうしてそのような読み方をしていたのか、今では考えられません。作品によっては、その一行が盛大なネタバレになる可能性があるのに。
そのようなリスクを冒してまで、なぜ一番に最後の一行を読んでいたのかというと、トリックに自分の力で気づきたかったからです。
ミステリーに限らず、どの分野の物語でも、多くの謎が散りばめられています。たとえば、"主人公は昔何があったのか"、"なぜ登場人物の発言に過剰に反応したのか"、"あのとき見せた表情には、一体どんな意味がこめられていたのか"。程度の差こそあれ、このような伏線や謎は小説にはつきもので、これらが物語に深みを出しています。
そして、これらの伏線や謎が終盤で回収され、そこで読者は、「あれはそういうことだったのか!」と気づきます。
当時の私はその決定的な一文が出てくる前に、自分の力で気づきたかったのです。最初に最後の一文を読んでおくと、推測を立てながら読むことができます(その一文がどんな内容かによりますが……)。
そして真相がわかったとき、「ほらやっぱり、思った通り!」となるのです。
最後の一文を読んで、ズルをしているのだから、自分の力とは到底言えません。しかし、当時の私は「ほらやっぱり!」と気付けることが、とんでもなく嬉しかったのです。
今はそのような読み方はせず、前から順番に読んで、物語を純粋に楽しんでいます。
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