身近に図書館があるということ

 気軽に図書館へ行けた学生時代、今思えば幸せなことだったと思います。


 私は学生のころ、週に1度は必ず図書館へ足を運んでいました。読みたい本のあるなしに関わらず、それは日課のようなもので、お風呂に入ることと同じくらい、当たり前に図書館へ通っていました。


 授業がある日に借りる本は1・2冊ほど。


 春休みや夏休みなどの長期休暇のときは、学校の図書館で10冊借り、行きつけの図書館でさらに10冊借り、合計20冊の本を抱えて、家に帰りました。

 貸出期間は2週間。もちろん、すべての本を読むことはできません。せいぜい読めるのは3・4冊程度。

 読めもしないのに、なぜそんなに多くの本を借りるのかというと、そのときの気分によって読みたい本が変わるから。

 「めっちゃ読みたい!」と思って借りたけど、家に帰ってページをめくった途端に興味がなくなった、なんとなく借りた1冊だけどなんだかすごく面白そう。本を読むときの私はいつも気まぐれで、そのときの気分にあわせて、本を選びたいのです。


 そして社会人になると、あれぼど図書館へ通っていたことが噓みたいに、パッタリと行かなくなりました。

 理由は単純で、自分の使う沿線に図書館がないから。行こうと思ったら、何回か乗り換えをしなくてはならないから。仕事終わりの疲れた身体で、それは非常に億劫です。


 それならば地元の図書館へ行けばいいのではと思うかもしれません。地元の図書館は自宅から徒歩30分の距離にあり、これもなかなか気軽に行けない。


 そのようなことから、図書館へ行く頻度はめっきり減ってしまいました。


 気軽に本を読めた学生時代。今思えば、向かう場所に図書館があるということは、とても幸せなことでした。


 仕事終わり、読みたくて読みたくて仕方がない本を借りに図書館へ足を運ぶたび、私はそのことを痛感します。

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