1 ホイル包み焼きハンバーグ③
寝て起きる。食べて出す。息を吸って吐く。生命維持活動だけならば、因数分解すればそれだけなのに。「生きる」となるとかくも
窓の外には、加熱されたアスファルトの路地を踏んで歩く無数の人々。排ガスを吸いすぎてすっかり精彩を欠いた葉をくっつけた街路樹。まばらに雲を散らす晴れ渡った青空とて、どうせ曇っていても泣いていても、傘とレインブーツを使うべきか判断する材料にするくらいで、特に感慨も湧かない。
いつもの、風景。
今の未桜にとって、日替わりなのは、ここで頼むコーヒー豆の種類くらいのもの。この窓から見える風景は昨日も同じで、きっと
(ああ、雀になりたいなあ。道端でパンくずを
でも、どこかで聞いた話では、鳥の消化器官は食べたパンに対応できないらしい。あいつらはいずれ、胃のなかで膨らんだパンくずに殺されるのだ。
ならば猫になりたい。お金持ちの家で高級なキャットフードをつまみ、日がな一日家でゴロゴロして、「かわいいね」と褒められるだけの生き方がしたい。でも、飼い猫には自由がない。気まぐれにご主人様に見放されれば、下手をすれば保健所送りだ。ブリーダーの手で繁殖させられこの世に生まれでた瞬間から、生き方どころか死に方も選ばせてもらえない。
(なんてね……。そんなこと言ってもしょうがないし、結論はシンプルなんだけど。なんだかんだ言って、結局人間に生まれてしまったからには、人間として生きるしかないわけで)
ただ漫然と生きて、そのうちブツンとスイッチが切れて死ぬ。人生なんて、「人」間として「生」を
取り止めもなく、
(はあ。行くか……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます