第20話 アラス頭目と一騎討ち
レット傭兵団の砦は巨大だ、不必要なくらい巨大だ。
イケスカンダが無計画に始めた、大森林の開発拠点となるよう防壁を作りスラムの住民の追放地にしたようだが、住民が居付かずスラムの無法者が拠点にし、盗賊稼業を始めたのが最初らしい。
数回に及ぶ盗賊団討伐の失敗が、イケスカンダ領の疲弊を招いたそうだ。
盗賊稼業の合間に防壁の拡張を行い、現在の南北2㎞東西3㎞の巨大砦が誕生した。
2~30人の弱小盗賊団を多数吸収、堅牢な拠点を持つドン盗賊団はいつしか盗賊の森最大勢力になっていた。
ドド達小規模盗賊団5グループが、家族連れでレット傭兵町に入居が始まった。
空き地はいくらでもある、住居だった山小屋を解体し荷車で運び込み、あちこちで組み立てが始まった。
「ロゴブロックの組み立てハウスの様だな」僕は呟いた。
ボロイが確実に都市化が進んでいる。
「ドン、僕は一応イケスカンダ一帯の領主、あまりのんびりもしていられない、手っ取り早く盗賊の森を平定し傭兵の森に変える方法は無いか?」
「レット様!それなら盗賊の森で、俺達に次ぐ勢力のアラス盗賊団を潰せば、他の様子見盗賊ども一気に傭兵団入りして来ます」
ドンも傭兵団大隊長らしい言動になった。
この世界で相手を刺激せず、かつ侮られない最大人数50人の精鋭とドンを引き連れ、アラス盗賊団の砦に向かった。
リンやハラス達は目立つので居残りさせた。
元森林開拓村だった、ペンペン草盗賊団砦のように街道に近い、良い位置では無い少し奥まった所にアラス砦が有った。
「レット様と一騎討ち出来るお膳立てします、情け無用でアラスを殺して下さい、奴は油断の成らない真からの極悪人です」
「あぁ、手加減無し、一瞬で殺す」
「アラス!俺はレット傭兵団大隊長のドンで有る!先頭に居られるのがレット傭兵団、団長のレット様だ!アラス!度胸が有るならレット様と一騎討ちしてみろ!レット様以外は下がって一切手出しせん、一騎討ちに応じないのは貴様の勝手だが、臆病者のアラスは団長のレット様を恐れて逃げ隠れしたと、森中の盗賊に情報を流す!準備もあるだろうから、10分待つ!アラスが出て来れん臆病者ならそれでも良い!以上だ!!」
俺達はレット様を残し、後方に下がった。
「さて10分か、タバコを一服する時間は有るな」
僕はタバコを口に加えた、いつもの様に自然に火が付き、紫煙をくゆらせた。
異世界に来てもタバコが旨い!
一瞬で殺すとは言ったが、どうやって殺す?
砦の見物人に恐怖心を植え付けるためには、目に止まらない舜殺ではダメだ。
ではどうする?
サッと後ろに回り、ユックリ首をネジ切る?うん!これが効果的!
「アラス遅せぇな吸い終わったじゃねぇか!」
結局3本目のタバコを吸っている時、アラスが出てきた。
「ドン!こいつアラスで間違い無いか?」
「レット様!アラス本人で有ります!」
「では一騎討ちを始める!」
僕は目に止まらない勢いで、アラスの背後にまわった。
流石極悪人アラス、瞬時の対応短剣を逆手に持ち、僕の脇腹を刺そうとした。
僕は飛び上がりアラスの頭髪を両手で掴み、アラスの両腕ごと胴締めの体勢、僕を押し潰そうとアラスは仰向けに倒れた。
「飛騨の山奥で、修行すること30年!!編み出した秘技蟹挟みの術!!」
格好良い事言おうとして、滑ったようだ。
僕は赤くなる顔を隠し、両腕に力を込めてアラスの頭を1回転、2回転、3回転、人体って結構丈夫10回転でやっと千切れた。
くわえタバコで異世界を行く 犬時保志 @ysxyz
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。くわえタバコで異世界を行くの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます