第16話 天幕発見

 スピを背負い、更に東に向かって走った。

 街道は整備されていて走り易い。

 皆も軽快に走ってる。

「イケスカンダはバカか?」

 逃げ出したなら、もっと必死で逃げろ!イスカ町の略奪が終ればペンペン草盗賊団追い掛けて来るぞ。


 イスカ町から約8㎞程の開けた場所にテントと天幕が張られ、給仕と愛人と思われる女達に護衛の兵士が何か作業をしてる。

 護衛の兵士はざっと200人程いる。

 この兵力を防衛に当てれば籠城戦成功したかも知れんが、最高指揮官がイケスカンダでは1000人兵が居ても無理か。



 天幕に近付くと話し声が聞こえて来た。


「馬車は目立つとお前が言うから歩いて来たが、疲れた!もう歩くのは嫌じゃ!」

「はっ!配下に輿こしを組み立てさせて居ります、明日は輿こしにお乗りになって頂きます」


 イケスカンダの言い分に、少しムカついた僕は普通に話し掛けた。

「いや!お前に明日は無い、女神メゾンの息子レットが害悪伯爵イケスカンダを討伐にやって来た」

「何者だ…くせ者が出た!!であえ!!!」

 イケスカンダはデブで醜悪な顔をしてる、生け好かない性根が顔に現れているようだ。

「僕は女神メゾンの息子レットと名乗ったぞ、曲者くせものはお前の方だろう」


 騒を聞き付け護衛の兵士達が集まって来た。


「皆の者!僕は女神メゾンの息子レット、女神はイケスカンダ伯爵領地全てに神罰を落とし消滅させると言っている!!その中には諸君の様に命令され嫌々従って居る罪無き者が多く含まれている!!一版庶民に罪は無い、従って僕が依頼によりイケスカンダに神罰落とす代行に出向いてきた!!抵抗無き者は殺さん!!」


 僕はタバコをくわえた、自然に火がつき一吸い紫煙を肺に入れる。


「女神メゾンの息子など聞いた事が無い!衛兵!無礼な大ボラ吹きを殺せ!」


【将を射んと欲すれば馬を射よ】

「伯爵領地を欲すれば領主を射よ!!ってか」

 僕は力を込めてつぶてをイケスカンダの顔に投げ付けた。

 回転を加えたイボイボ礫は、イケスカンダの眉間に入り込み後頭部から脳しょうを撒き散らしながら飛び出して行った。

「罪無き衛兵諸君!諸悪の根源イケスカンダに神罰を処した、既に諸君が戦う意味は無くなった。

 因に7人の仲間がイスカ町のペンペン草盗賊団殲滅させた、怪我人も全て回復させて来た」


 無能な暴君に嫌気が差して居たようで、戦う事無く衛兵達は剣をおさめた。

 兵達の顔には安堵の表情が現れていた。

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