第12話 ヒヨリミ町も悲惨な状態だった

 くわえタバコで、僕がスピを背負い皆で走った。

 スピは瞬発力は有るが、持久力が全く無い。

「のんびり歩いて居たら日が暮れる」

 山道と違い、皆結構な速度で走ってる、マズ村から北東に約15㎞の位置にムギ村が有るそうで、道なりに走って30分足らずで到着した。



 ムギ村も、思った通り盗賊被害で貧窮していた。

「ムギ村は、ヒヨリミ男爵が住むヒヨリミ町の隣、何故助けを呼ばない?」

 見るに見兼ね、汁多目の団子汁炊き出しして村長に聞いた。

「男爵様に、救援要請と盗賊討伐のお願いはしました、ですが『分かった』とのご返事頂いただけで、行動は起こして頂けて居りません」


「役に立たん統治者だな……最初の計画通り男爵を討伐して、僕の領地にするか」

「レット様は、村々を助けて来られ好い人なのでご忠告します。

 ヒヨリミ男爵には、イケスカンダ伯爵様が後ろ楯されて居ります、無謀な事はお止め下さい。

 盗賊団を壊滅して頂いたそうで、このままでも村は復興出来ます」


「復興出来ても、このままの統治者では、良い暮らしは今後も出来んだろう?」




 理不尽や悲しみが多かったレット、力を持った今弱者に目一杯優しく出来る!女神メゾンは満足しながら眺めて居た。

『レット!思う通りにお遣りなさい、手におえない困った事に成れば、母として助けに降臨してあげる』

「メゾンさん、ヒヨリミやイケスカンダを討伐するのは簡単そうだけど、問題はラスボス国王がどう対処して来るかだよな」

『安心して、国王が変な対応して来るなら、国王も討伐すれば良いよ』

「それは…いくら何でも…無茶苦茶だよ」

『悪政には断罪が必要、レットが住良い世界に変えたら良いグダグダに成れば神罰落として解決』


 リン達は馴れたもの(レットはまた女神様と交信中、邪魔しない様に控えて居ましょう)と銘々武器の手入れをしてる。



 村長に聞けばヒヨリミ町まで僅か6㎞とか、ムギ村の東外れから眺めるとヒヨリミ町の防壁が見える。

「こんな近くなのに見捨てるとか有り得ん、皆!走るぞ!」

 見えてる所、皆が全力疾走した為10分足らずで町に到着した。


 ヒヨリミ町の門は閉じられて居た。

 門の前に立ち大声で叫んだ。

「門を開けろ!マズ村は壊滅状態、ムギ村も開拓村も疲弊している!ザツ村を盗賊団が襲って居たので討伐して置いた!ヒヨリミ男爵に会わせろ!!私は女神メゾンの息子レットである!開門せよ!!」


 門がギシギシきしみながらユックリ開いた。

「盗賊団を討伐したとか、真の事か?」

「疲弊した4村を見て来た!ヒヨリミ男爵がまともに統治出来ぬなら、女神メゾンの名の基、領地を取り上げる!!」


 隊長風の男は僕の言葉に目をむき、フード付きマントのハスキ達をギロリ睨み話始めた。


「男爵様も領地防衛軍も伯爵様の命令で、伯爵領イスカ町の防衛に駆り出され長く不在だ!私はヒヨリミ町警護隊長シッタ、話を聞くこっちに来てくれ」


 門番詰め所を通り過ぎ、中央路を警護隊長と進む。

 シッタは僕をチラチラ見、品定めして居る様子だ。

「男爵のお膝元の町とは思えん、寂れた町だな」

「イケスカンダ伯爵からの物資徴収、上納金の取り立てが酷いのだ」

 ヒヨリミ町は、薄汚れた家々が建ち並ぶ活気の無い町だった。


 シッタは案内しながら懸命に思考していた。

(この子供、女神メゾン様の息子と名乗った…盗賊団を討伐したとも言って居る、信じがたき事だがこの子供が言ってる事が真実ならば…どれ程嬉しい事か…救いの無かった現状を打破出来る)

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