第10話 兔人はボクっ娘

「ボクはト族のスピ、お兄さん奴隷商人じゃ無いよね?」

 リン達と同じ身長140㎝位、ウサ耳が可愛い兔人のスピが聞いて来た。

「紹介するね、ドワーフのリン、ミン、メイそれに、ギバ族のハスキとペス、皆僕の大切な仲間だぞ!僕は女神の子供でレット▪シガーだ、宜しくな!スピ君」


「め、女神様の子供?レット様が?」

「女神が僕の身体を造ったって、僕はそんな気全然無かったけど、女神が『私の子』って言ってたから、女神の子だ」


「ボ、ボクは奴隷商人に捕まった時から、男の振りしてたけど、女の子だからね!間違わないでよね!……女神様の子供なら、ボクの身体を自由にして良いよ!ト族は人と同じで年中バチコイだから」

 女の子と言われ、思わず胸を見てしまった。


「ど、どこ見てんだぁ!ボクは男の振りをしてたから、胸は発育させなかったんだよ!」

「そう?これからは、女の子に戻ったんだから、遠慮無く発育させて」

「大きなお世話!ほっといて」

 普通に励ましたつもりなのに、何で怒ってる?不思議に思うレットだった。


⦅流石異世界、女の子は自由に萎めたり膨らませたり、胸の調整が出来るんだ⦆

『そんなはず有るかぁ!変な感心してるレット君に、お説教したい!

 ま、面白いからこのままで良いか。レット君も何とか生き延び、魔素も地球から順調に流れ込んでるし』

 女神は突っ込み入れず、呟きのみに留めた。


「レット?随分ト族と仲好くなったね」

 ジト目でリンが言ってる(焼き餅か!焼いてくれてる?)

「や、ヤキモチなんか焼いてない!!」


「あれ?ドワーフって心が読める?」

「そんな訳有るか!!レット声に出してたぞ!」

 一人住まいが長かったので、独り言の癖が有るのを、知らないレットだった。


 親子3人の再会、落ち着いた様でハスキが紹介して来た。

「レット様!これが妻のセリカです、救出有り難う御座いました」

「レット様、夫と娘から聞きました!私も生涯の忠誠を誓います!!」

「そんな、堅苦しい付き合いじゃ無くて、仲間として宜しく」


「マズ村に着く前に、セリカとスピの得意な事を聞きたい」

「レット様!妻は自分達の中、一番強いです!!」

「そう?剣はハスキと同じで良い?」

「出来れば、片手剣二振り欲しいです」


 セリカが選んだのは、普通の長剣二振りだった。

 セリカは180㎝近い長身でリーチも長い、左右の腰に差した長剣を、腕をクロスして同時に抜剣し、舞を舞う様に綺麗な形を見せてくれた。


「次はスピ!得意な得物は?」

「ボ、ボクは脱兎の如く、逃げ足が速い…よ」

 言ってて恥ずかしくなったのか、終わりが良く聞こえなかった。

「足が速いのは助かる!皆でマズ村まで、駆け足で行くぞ!!」


 ボクが本気で走ると、皆を置いてけ堀にしてしまう。

「あれれ?皆速い?」

 本気じゃ無いけど、遥か先をリン達3人が行き、次がセリカ、ハスキ、ペスが順に走ってる、かなり遅れてスピが追いかけてる。


 本気で走ったが、差は開くばかり……「皆こんなに速かったのか!!」


 息切れがする!休憩してタバコを吸った。

 身体中が熱くなり、息切れがおさまり、また走る事が出来た。

 物凄く開いた距離が、あっと言う間に追い付き、スピを追い抜き振り返ると、スピは既にフラフラ状態、可哀想なのでスピを背負い、皆を追いかけた。


 ペスを追い抜きハスキ、セリカも抜いて振り返る、3人はまだまだ余裕がある走り、気にせず遥か先のリン達に向かって走った。

 結局マズ村寸前でリン達に追い付いた。

「リン達はチミッコイのにヤッパ凄いな!」

「レットこそ、手抜きで走ってて、結局勝つなんてズルい!!」


「ゴメン、手を抜いたんじゃ無いよ!タバコを吸って無かったから……僕の実力は皆に遥かに劣る事が分かった」


「あのう…もう、降ろして下さい」

 背中の声に驚いた。

「背負ったままだった、下ろすよ」

 スピは顔を赤くして、モジモジしてる。

「スピ?オシッコだったら、あの茂みですれば良いぞ」

「ば、バカァ!」スピは後頭部を叩いて走って行った。


「何で怒る?親切に言ってやったのに」

『ピンポーン♪レット!いくら何でも、デリカシーが無さ過ぎだよ!思わず突っ込みしちゃった!!(も、もしかして、精神いじくった時失敗した?異常だよ…これは……無かった事にしないと)』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る