第7話 開拓村占領
「げほっ!げぇーーっ」
素直に答えたので、引っ張り上げてやったが、こいつは話が暫く出来そうに無い。
質問すると相手は、進んで話してくれる様になった。
「僕達が、眠って居る間に拘束する目的でも、夜の夜中森に入り込むのは、危険だろう」
「む、村から湖のここまでは、昼はオークが徘徊するが、夜はオークの縄張りに、他の魔物は寄り付かん!夜は安全だ」
「そうか?ならば開拓村に案内して貰おうか」
「レット?村に行くのは危険じゃない?」
「村を占拠する、それから奴隷商人に不要な村人を売る」
「「レット、それって…」」
「ん?」
「良いね!素人が家を建てるの難しい、占拠して当分の拠点にしましょ」
占領すれば村の家はより取りみどりだ、5人の男達を追い立て、開拓村を目指した。
この開拓村が特別悪の集団って訳では無い、無用心に
確固たる産業の無い開拓村ならば、普通の行為だ。
開拓村に限らずとも、普通の市町村でも当たり前に行われて居る。
多勢に無勢でも、己れ自身を守れたならば返り討ち殺戮も正当な防衛と認められて居る。
公平な権力者の裁きならばと、ただし書きは必要で、公明正大な判断をする権力者は、殆ど居ないって事だ。
普通の場合多数の言い分が通り、少数の意見はたとえ正しくても握り潰される。
この世界を旅するならば、権力者の軍勢も含めて壊滅できる実力が必要だ。
村ならば村民が兵力、たかが知れている。
これが市や町になると、貴族が関わり厄介な兵を所有している。
兵力を笠に着て権力者が裁くなら、身贔屓は当たり前に行われる。
此方に全てを討ち滅ぼせる武力が無い場合、理不尽でも我慢する必要が有る。
もっとも権力を笠に着て、理不尽を押し付け抗う力の無い者は理不尽を受け入れて我慢する、日本でも同じだった。
地球規模で言うと、日本は理不尽を我慢して受け入れる側だったが。
闇にボンヤリ門が見えた。
「誰だ!!」
不寝番が居た。
「西の盗賊団よりしっかりしてる」
「盗賊か!」
「ウルサイ黙らせろ!」
リンが麻痺毒の、十方手裏剣を不寝番に投げた。
「な、何をする気…ラ…」
男が倒れた、毒は結構速効性のようだった。
僕は『エクスカナボー』(例の鉄棒に命名)を振り、門を破壊し村に乗り込んだ。
「因果応報、寝込みを襲われてりゃ世話無いな」
門の破壊音にも起きない者達、完全制圧は容易かった。
「何者だ!!」「俺達をどうする気だ?」「ら、乱暴に扱うな!」「止めろ!!」
「痛いと言ってるだろ!押すな!!」「み、耳を引っ張るな!」
たんこぶやら、顔が腫れたのや腕が変に曲がったのが、ゾロゾロ集まって来た。
リン達が力ずくで、広場に村人達を集めてくれて居る。
タバコを吹かしてながら眺めた、老若男女合わせて、ざっと200人程いる、子供が意外に少ない…見落として居なければ2人?
(開拓村の暮らしが、まだ安定して居ない様だな)
「僕が、この開拓村を占領しました。皆さんを奴隷にします!!不満の有る方は挙手で、意見を言って下さい」
ほぼ全員が手を上げた。
「村長!何か?」
「ふざけるな!小僧!!貴様をぶっ殺し、3人の女を奴隷にし売り払ってやる」
「はい、貴重な意見有り難う御座います」
僕は加えタバコで村長に近付き、力を込めて顔面を殴った。
「奴隷が、ご主人様に、無礼な物言い!少し仕付けが必要ですね」
見回すと、挙手が無くなった。
「奴隷の身分受け入れて下さって、感謝します」
「きゃ!し、死んでる!!」
村長が、吹き飛んだ近くに居た女が、悲鳴をあげた。
「騒がない!殺す気で殴りました、死んで当然です」
(失敗!あの程度で死ぬのか?力加減考えないと…
ま、村長は見せしめに、処刑するつもりだった、問題無し)
「こんな無法、お貴族様が討伐に来るぞ……」
僕達を捕らえに来た男達、そのリーダー格のゴロツ、こいつが聞きたかった事を洩らしてる。
この辺り一帯は、イケスカンダ伯爵領地だそうだ。
西最果て開拓村は、伯爵の命令で、ヒヨリミ男爵が資金を出し行っている開拓事業だそうだ。
伯爵が資金を出してで無く、男爵に出させてって所でイケスカンダって奴の性根が知れる。
爵位に馴染みは無いが、絶対的権力者と言う事は分かった。
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