第3話 相棒救出

 太陽は中天には達して居ない。

(この世界も太陽は東から西だよな?まっ、どうでも良いか)

 細かい事を気にしない、異世界を図太く生きる、これも精神改造の賜物?

 この世界が仮に一日20時間で、一年が400日で有っても、日々を生きて行くのに何ら関係が無い。

 分秒で生活する、現代の日本じゃ無いからね。


「ここを拠点にし、辺りの探索するか」

 確り燃えてる焚き火を消すか、少し迷ってこのままにして置く事にした。


「さてと……どっちに行くか?」

『ピンポーン!女神からのお報せ!東に行くと、森が途切れ開拓村が在ります。北に行くと、オークの集落が在ります。南は果てしなく森が続き、魔物肉を狩るのに適して居ます。西に盗賊の砦が在ります。西に行くことをお勧めします!以上貴方の女神より』


「東に開拓村、北がオークの集落、南は肉狩り、西に?何で盗賊に会いに行く?」


 返事が無い「女神の屍のようだ」

『死んで無いよ!盗賊の砦から、貴方の相棒を救出するの!』

「わぉ!ビックリした!返事が返って来るとは思わんかった」


 盗賊から相棒を救出するなら武器が必要と、収納してる巨木からバットを作り出した。

 武器として思い浮かぶのが、金属バットか鉄パイプってのが日本人っぽくて情けない。


 バットを振ってみた。

 余りやった事無いが、たまに授業でやったソフトボール、ボール打てた事無いのを思い出した。

「ボールより盗賊は大きい、振れば当たるでしょ」

 盗賊相手に、武器がバット、気にせず行こうとしてる異常さに気付かないのが不思議だ。

 不安や恐れで、身体が動かなくなる、何度も見てきた女神の精神操作とは思いもしないで、森を進む名無し君。

 自分の容姿が完全に変わり、見てくれ年齢も若く幼ささえ感じさせる姿に気付いて居ない。



 話は突然変わりますが、徴兵制度ってご存じでしょうか?

 日本を取り巻く、ロシア中国韓国北朝鮮全て徴兵制度があり徴兵され、軍隊教育で能率的人殺しを習って居ます。

 スイスやフランス、平和な国に思えますが、いずれも徴兵制度があり、徴兵され効率的人殺し技を習って居ます。


 余談の余談ですが、強固なスイスの徴兵制を扁平足の診断で逃れた人、あのアインシュタインさんがその人です。


 日本は昭和20年敗戦と共に、軍隊を持てない国になり、軍隊が無いなら徴兵する必要が無い。

 日本人は全く戦う術、争う事が出来なくなりました。

 当時の占領軍の意向、思惑での措置でした。

 そんな日本人が異世界転移転生するから、話が面白くなるのであって、日本人以外の外国人が転移転生したなら、現代知識と徴兵で習った各国の考え抜かれた殺人技、軍隊式マーシャルアーツの体術心構えで無双し、ラノベ的には面白みが無くなります。



 何故チート無双出来る能力が有りながら、転移転生させた日本人が、弱い相手に殺されるか、原因を調べた女神による実験的試みが、まだ名無しの主人公であった。

 全く魔素を使用しない地球から、パイプ輸送する働きが転移転生者の役目、この世界の女神には地球からの転移転生者、存在するだけで地球から魔素を輸送させる。

 多くが己の信ずる神以外否定する地球人類の中で唯一素直で扱い易く無節操な日本人に、誰でも良いから居着て貰わないといけない理由が有った。


 名無し君が盗賊の砦に到着した様だ。




「木を組み合わせた防護壁、門は?閂式かんぬきしきか」

 外から木の隙間に手を差し込み、カンヌキの棒を取り除き、難無く侵入に成功した。

「見張りも居ない、ずさんな守りだな」


 この状態は女神の計らいで、盗賊の殆どが出稼ぎに出掛けた留守に浸入している。

 留守番は下っぱ5人のみ、好条件にお膳立てしてくれていた。



 ドアを開けて室内に入った。

 奥から話声が聞こえる。

「ちょっと緊張してる?こんな時こそ一服!」

 タバコを嗅ぐ事もせず、一本加えた。

 即尖端に火がつき、紫煙を吸い込む。身体中が熱くなった。


「行動開始!!」

 話声がする部屋に駆け込んだ。

 髭面の、小汚ない男が5人驚いた様に口を開け、こっちを見てる。

 一番手前の男の頭目掛けてフルスイング!

 スイカが弾ける様に、男の頭が散った。

 身動きしない男達、3人の頭が飛散してバットが折れた。

 2人の男が立ち上がり、剣を取ろうとしている、背中を向けた。

 僕は飛び付き2人の髪の毛を後から掴み、引っ張った。

 仰け反る2人を、勢いをつけ床にぶち当てた。

 2人の後頭部が潰れ、床にめり込んだ。


「意外と簡単に終ったな」

 2人が取ろうとした剣を見た。

「バットより良い武器ゲット!!」

 5振りある剣全て収納した。


「「「助けて!!」」」

 遠くから、叫び声が聞こえる。


 声を頼りに、奥に進んだ。


 鉄格子が一番に目に着いた。

「お、お兄さん?盗賊?じゃ無いよね…」

 3人の子供が、鉄格子の奥からこちらを見てる。

 3人の耳が横に尖ってる、エルフの子供?

「あぁ、女神さんに聞いて、助けに来た…?」

 掴んだ鉄格子が、クニャリ曲がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る