第38話 白川家の私生児の美少女
桜子は霊力がないからともかく、透子やその母の結子、従姉の朱里たちは霊力をたっぷり持っている。
和樹が彼女たちと交われば、霊力の強化の手助けになる。
「そうすれば、お兄ちゃんは観月お姉ちゃんを守ることもできるよ」
桜子が天使のような笑みを浮かべてささやく。
そう。たしかに、今後も魔術師や怨霊たちとの戦いがあることを考えれば、それは手段としてはありうる。
だが……。
和樹はちらりと観月の表情を見た。観月はふるふると首を横に振る。
「だ、ダメです……そんなのは。透子さんだけなら、ともかく、他の皆さんは……」
「私はいいわけ?」
「よ、良くはないです! けど、透子さんは元婚約者だったわけですし、兄さんの二番目の妻としてなら、許してあげます。白川家の男に襲われて悲しんでいる透子さんなんて、わたしも見たくないですし……」
観月は考えた結果、透子だけは許すという結論に達したらしい。透子がほっとしたように息をつく。
もともと観月と透子は仲良しだ。透子は白川家の男に手籠めにされる危険があるし、その前に俺の子どもを妊娠しておく必要がある。
(……いや、考えてみれば無茶苦茶な理屈なんだけれど)
でも、観月と透子は納得済みらしい。
「でも、それはわたしも、朱里さんもお母様も同じだよ?」
桜子が横から口をはさむ。白川家や敵対魔術師たちによる凌辱の危険にさらされているのは、桜子たちも同じだ。
理屈では、桜子や母の結子たちも、和樹の相手となっていいことになる。和樹の霊力強化の問題があるから、なおさらだ。
「そ、それは……そうですけど」
観月は苦悩したように、小さな声で言う。状況が観月を苦しめている。和樹は観月のことが一番大事で、観月の力になりたかった。
とっさに和樹は観月を抱きしめた。観月は顔を赤くして、慌てて和樹を見上げる。
「ど、どうしたんですか……?」
「俺は観月が一番大事だよ。どんなことがあっても」
「あ、ありがとうございます……」
観月は恥ずかしそうにして、でも嬉しそうな笑みを浮かべた
その様子を透子と桜子はジト目で睨む。
「いつまでも二番目でいるつもりはないんだから」
透子はつぶやいていた。
桜子は桜子でふふっと笑って「いいもん。既成事実を作っちゃえばいいんだよね?」なんて小声でつぶやいている。
「屋敷の女の人みんながお兄ちゃんの子どもを妊娠するの、楽しみだね♪」
「さ、桜子……」
「お兄ちゃんだって、可愛い女の子や年上の美人とエッチできるんだから嬉しいでしょ?」
「そ、それは……」
たしかに和樹も男だし、嬉しいは嬉しいけれど。でも、観月のことを考えると、ハーレムなんて純粋には喜べない。
ただ、観月、透子、桜子、朱里、結子の五人の女性が妊娠している姿を想像して、和樹は顔を赤らめてしまう。
そんな話をしているうちに、学校が近づいてくる。生徒の集団がちらほらと見え始めた。
そのなかに、ひときわ目立つ女の子がいた。
金髪碧眼のすらりとした美少女だ。スタイルも抜群で、胸もお尻も大きい。
ロングヘアをかきあげる姿は、まるでアイドルのようだった。気が強そうな雰囲気だけれど、ともかく可愛い。
「あの子……白川家の子よね」
透子が言う。和樹もその女の子のことは知っていた。
七華族の白川家。その当主が愛人のイギリス人女性に産ませた娘・白川エミリア。
彼女も、和樹たちと同じ学校に通っているのだ。
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