第15話 キスvsキス

 透子は目の前の光景が信じられなかったのか、フリーズした。セーラー服姿の透子のスカートの裾が軽く揺れる。


 そして、透子はしばらくして口を開く。


「な、なんで観月がいるの!? し、しかも裸で……」


 上半身裸で和樹の足元に倒れこんでいる観月は、頬を赤らめ、透子を見上げる。


「兄さんはわたしのものになって、わたしは……兄さんのものになったんです」


「そ、それって……エッチなことをしたってこと?」


「そうだと言ったら?」


「そ、そんなのダメに決まっているじゃない! だって、あなたたちは兄妹で……」


「でも、わたしは兄さんと結婚するんです」


「和樹と結婚するのは、婚約者の私!」


「元婚約者でしょう?」


 言い争う二人に、和樹は慌てた。止めに入ろうとするも、透子に真っ赤な顔で睨まれる。


「和樹の変態! 義妹に手を出す見境なし!」


「ご、誤解だよ」


「どうして私にはそういうことをしてくれなかったの!?」


 透子は叫んでからはっとした顔で口を押さえた。

 観月がジト目で透子を見つめる。


「透子さんだってむっつりスケベじゃないですか……」


「ち、違うもの!」


「でも、残念でした。兄さんにエッチなことをしてもらうのは、わたしの特権なんです」


「ほ、本当にしたの?」


 不安そうに透子が和樹に聞く。和樹は困ったが、結局、正直に首を横に振った。


「してないよ。何もしていない」


「良かった……」


 透子はほっとした表情を浮かべ、観月は不満そうな表情になる。


「兄さんの嘘つき。キスしたのに、なかったことにするなんてひどいです」


「そ、それは……」


「兄さんがそのつもりなら、わたしは……さ、最後までしてもいいんです」


 観月は恥じらいながら、ささやいた。

 思わず和樹はちらりと観月を見てしまう。観月の白い肌を見て、その美しい身体を自分のところにするのを想像した。


 次の瞬間、慌てて和樹は目をそらしたけれど、透子は傷ついたような表情を浮かべていた。

 そして、透子はそっと和樹に近寄る。


「観月とのキス、気持ちよかった?」


「ええと……」


「気持ちよかったんだ? なら、私の方がもっと気持ちよくしてあげる……!」


「え?」


 次の瞬間、透子は和樹をぐいとつかんだ。そして、和樹の体を引き寄せ……。

 キスをした。

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