第24話 安心する理由

 上空には鉱石の粒子を散りばめたような星空と、煌々と輝く白い月。その下に広がる静まりかえった城下の中心では、夜闇の中に淡く光る薄紅色——シレア国の至宝、王都シューザリーンの時計台は今宵も国を見守っている。

 王女は窓の桟に肘をつき、昼の喧騒を忘れた世界を眺める。

 今日の仕事も全て無事に済んだ。勉強も政務もまだ力が足りないところは多いけれど、次期為政者として一つずつこなしていかなくては。

 風が吹き、王女の髪を揺らした。思わず頭を押さえると、手首でしゃらりと音がする。

 星辰に似た装飾を持つ、精巧なつくりの腕時計。


 星夜の天空は美しく、吸い込まれそうに無限で怖い。ふと自らの立場が自覚され、脚がすくみそうになる。

 でも、兄をはじめとする皆がいる。

 そして自分には——


 ——ウェスペル。私、負けないから。


 腕時計を胸に当て、かけがえのない友人に誓う。


 ***


 支えてくれる存在。

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