第23話 おあいこ
明日のためにと夜まで動くと、元気のいい体も重く感じてくる。冷えた部屋の布団は寒いだろうなと想像するだけで凍えそうだ。
そういえば、今日は城のどこもかしこも仕事が立て込んでいたのではなかったか。書類確認をし終えた王女の頭に、ふと城を駆けずり回る顔が思い浮かぶ。
——自分のことには無頓着なのだから。
扉を出て、自室とは別方向に足を急がせた。
「あらシードゥス、そちらの部屋行こうと思っていたのに」
厨房の隅でやかんが湯気を吹き、その前に立つ青年が鉄棒を突っ込み火を消した。
「何か用事ですか。姫様こそ。行こうと思っていたのはこちらなのに」
「あらどうして? 私は」
「「疲れてそうだからお茶とお菓子でも」」
二つの声が重なって、厨房の壁に跳ね返る。
その次の瞬間には、二人の笑い声が弾けた。
***
お互い心配。
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