第21話 お休み中
冬のシレア城は屋内であれ寒い。降り積もった雪が音を吸い、しんと冷えた空気に静寂が立ち込める。
早く仕事場へ行こうと、従者の足も自然と速くなる。しかしふと紙の音が耳に入り、俯きがちだった顔を上げた。
「何やってんですか姫様」
王女が冷たい木の床に直に座って本を読んでいる。声をかけると、即座に人差し指を口の前に立てた。寄りかかっているのは主人の部屋の扉である。
「お兄様が寝ていらっしゃるの」
「ああ」
それなら仕方ない、と従者は微笑んだ。
この時間に起きないということは、相当消耗しているのだろう。妹以外が訪ねてきたら敏感な神経がその気配に気づいて目覚めてしまう。
「見張りも結構ですけれど、ソナーレに毛布持って来させますね」
黙ったまま、王女はこくりと頷いた。
***
風邪をひいたら大騒ぎ。
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