第13話 姫様の小物
小さな家の中で、規則的に繰り返される摩擦音。やがてそれが止み、今度は木に研がれた刃物が当たってコツ、コツと小さな音を立てる。
「おやあんた、それずいぶんと可愛らしいね」
洗濯物を抱えて夫人が室内に入ってきた。声をかけられた方は顔を上げるでもなく、手にした小刀を動かし続けている。
「紅葉と花と、ねぇ。姫様のかい?」
「あのお転婆がちったぁじっとしてられるようにした方がいいだろう」
ぶっきらぼうな返事に夫人は破顔した。
「あの子は元から勉強は好きだよ。あんたが何か作ってやりたいだけのくせに」
返事はない。ただ黙々と作業する強面の顔は、少しだけ柔らかくなっていた。
***
馴染みの材木屋。
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