第9話 馴染みの衛士
「さあて今日は風邪引いてるのとかいないといいけど」
王城衛士団の日々の仕事は見張りだけではなく厩舎の管理もある。しかも自分たちの馬だけでなく王族の愛馬も世話しなければ。
「あっ、こんにちは! この子、今日はちょっと疲れているみたいで」
世話しなければ……いけないが。
「姫様、我々に任せてくださって良いのですよ?」
このまだ若い衛士ほか、数名はたびたびこうして厩舎で姫に遭遇するのである。王族の手を煩わせまいと言うと、王女は唇を尖らせた。
「皆さんにお任せし切ってこの子が私を忘れちゃったら困るじゃないの。ね?」
顔を寄せられ、栗毛は相槌のように鼻を鳴らした。いつものことだ。衛士も咎める気も失せてしまう。
「仕方ないですねえ。じゃ、餌やってください。そこのが今日のです」
「はいはーい。ねぇ、最近急に寒くなってきたけれど、門衛の勤務時間長すぎてない?」
「まだ今季は夏から変わってませんよ」
「ずっと外は寒いでしょう。今年は寒波が早いし」
「そうですねえ、確かに最近は早めに入りたいなーなんてことも」
王族に雑用を任せていいものかと思えど、手を動かしながら他愛もなく話す時間は好きだったりするのだ。
***
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