第4話 従者と弟分
早朝、この王城で下男勤めの期間を経て、先ごろ昇進した青年は、しばしば王族と国を守る一等衛士団指揮官長兼王子側近に稽古をつけてもらっている。
毎日厳しい訓練と仕事の日々。しかも若い青年には、自分のことや家族のことや、悩みも多い。
朝日が枕に預けた頭のところまで射して眩しい。
——まだ……寝たい……
昨晩、遅くまで悶々と悩んでいたのだ。今後どうしようかと。
甘えた気持ちが布団から逃れられなくしたとき、扉が開いた。
「こらシードゥス起きろ」
「ロスさん、すみません……今日の稽古は」
指揮官長直々に起こしに来てもらっても、はっきり言って怠い。
「稽古は無し。今日は市外の巡察」
「は? え? 何で俺?」
「いいから早く支度しろ。間に合わない」
素直な青年の悩みは顔に出やすい。晴れた朝だ。郊外の紅葉は朝日に照らされた時に一層色が映える。
心の鬱屈など、いっときでも忘れるほどに。
***
みんなのお兄ちゃん、ロス。
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