第二話自由闊達とは行かない旅路④


白原薫龍はこの状況の情報を処理しきれないでいた。


そもそも、闇削刑無の気配がいつの間にか消えているのだ。


決して、その男について忘れてはいけない。


彼にとって、この場、この環境、この社会、この街の全てが揚げ足取りされて、重箱をつつくように隅々まで洗いざらい把握して、そして断罪すべきならば裁く。


というパーティー離脱イベント処理を暗々裏にやってしまったというのはどういう叙述トリックなのだろうか、別にそんな事をしても得はない。


「………どこ行った?」


そんな事を小声にしていまった。


それに敏感に反応にしたのが金属バットを持った方のスケバンクノイチの二人。


散開していた。


「あ、声に出てたか………」


清瀬光己はそんな彼女に薄ら笑いを浮かべた。


「どうした?刑無はそこら辺の路上清掃が完全になっていないというのを知ってしまったのだろう、しかし、それでは謎の醍醐味まで分からないだろう、政治家によって表現の自由のために肝入れでアニメ文化を保護すると言っても俺は疑心暗鬼する、人間にとっての社会悪と世俗的な悪はまた別、あらゆる抑止力の刺客ですら殺人を殺人という、それは異名、相殺兵器クロスカウンターとも言えような」


という事をさりげなく耳打ちしてきた、呼吸が荒い、女子の顔に近づいて鼻息を荒くしている、そのうち、勃起さえするぐらい童貞臭がする。


その後半の考えは脳内で捨ておいて、彼に向き合う事に決めた。


「第一、お前がテロ予告したのが悪いだろう?お前の作った曰く付きのサイコホラーゲーム、の作品通りじゃなかったかしら?」


白原薫龍と日枷護子がこの事件について一瞬で見抜いたのはそういう経緯がある。


が、しかし、そこからのこの展開は読めなかった。


序破急にしても、その序の口というのがとてつもない登竜門なのであった。


「位相空間論のコンパクト化、位相空間X のコンパクト化とは、X をコンパクトな位相空間に稠密に埋め込む操作を指す。X を数学的に取り扱いやすいコンパクトな空間へ埋め込むと、X の性質を調べやすくする事ができる、というやつか」


アイリッシュ・コーヒーが声の温室もメラニー声どころの騒ぎではないほど女体化にしている、声優との兼ね合いとかでめんどくさい事になるのは取らぬ狸の皮算用だ、しかし、彼は善良なる数学者という心得がかなりあるようであった。

 

それに白原薫龍はまるで理解が出来ないという顔をする。


その場にいた全員が清瀬光己を除き疑問符の?を頭の上に浮かべたように見えた。

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