第一話始まりは終わりと同じ⑨

闇削刑無は本音の一つを語る。


「彼こそを摂政にするべきと思う」


摂政は、皇室典範の定めるところにより置く憲法第5条、天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。また、天皇が、精神・身体の重患か重大な事故により、国事行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く、皇室典範第16条、それは形骸化されているが死文にされてない。


「この国は腐った人間が多い、老若男女とにかく多い、心どころか魂まで腐敗している、そんな社会の病理にメスを入れたい」


それに反感を持つ女が立ち上がった、瓦礫の中から白原薫龍が立ち上がっていた。


「民意の全てがそいつに傾いても、この僕はその男に反対票を入れるとしよう」


それに闇削刑無はこう返す。


「邪喰君の方ですよ?」


と、疑問を訂正した。


「俺に清き一票を入れてくれよ、こう見えて25歳に到達している、衆議院選挙には出れる、都道府県議会議員、市区町村長、市区町村議会議員にだって立候補は可能だから」


闇削刑無は首を振る。


「貴方は腹に一物を抱えすぎです、腹をかっさばくまでもなく腹黒い人間ですよ」


実の主であるにも関わらず、全否定する。


白原薫龍はホッと一息をつく。


「早とちりだったようだな」


白原薫龍に暗獄寺終音はこうも言う。


「しかし、軍事クーデターであるという側面にも変わらないから、止めてみろや」


そして、迅速に攻撃を開始された。


暗獄寺終音の右手が白原薫龍の顔面に迫るが、白原薫龍の違和感は腹部にあった。


「グフアッ!」


空手では両手で同時に攻撃する技があります。身体の正面に向かって出す諸手突きをはじめ、そして体側を滑らせるように出す山突きなどです。それが実戦で使われた。


見事、天晴れさえ冠詞につくだろう。


それが繰り出されて、そしてまた倒れかけた、そのからくりに気づくのはまだない、それに気づくと他のスタンスを変える必要さえ生まれる、そして続く連続技は霧散した。


諸事情というのがあるからだ。


だがしかし、山突きの二発目である。


そこから怪力任せに四方八方、野球のボールのように投げられるのは困ると白原薫龍は思ったが、また、服を捕まれてしまう。


が、今度は両足により力を込めた。


「あれぇ?抵抗するんだ」


白原薫龍はそれを地面、大地にめり込ませ、陥没させた、重力さえ味方にしていた。


柔道の技などからっきし心得のないようなそんな技など、彼女には通じなくなった。


「俺もいる」


暗獄寺終音は後ろから声をかけられた。


振り返った瞬間、清瀬邪喰に殴られてしまう、そして、どこまでも飛んでいった。


石みたいなので出来た堤防にぶつかる。

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