第一話始まりは終わりと同じ③


「弁護はそれで終わりですか?」


闇削刑無がそんな事を言った。


「外に出て、一戦、交えましょう、私は仮にも裁判を司る天秤の化身ですが、それでもこの世に嫌いなのが二つある、戦争犯罪予備軍の自衛隊と保護観察制度です」


そして、更に、そんな事も言い放った。


日枷護子はそれに対して、カチンときた。


「保護観察ゥ?ちっ、大鴨の野郎‥‥‥」


勝手にそうなっているとは露知らず、そんな名前を与えられてもなお勘が悪い。


「良いだろう、表出ろや」


闇削刑無はその言葉に了承した。


そして、鬼童正道も白原薫龍に聞く。


「俺達も戦闘開始した方が良いかな?」


それに対して白原薫龍は否定した。


「いや、別にいいよ、僕はお前よりもそっちの尼さんの方が気になってしまう」


と言われた青田刈死導は戸惑う。


「‥‥‥‥‥‥さぁ、私は貴方が嫌いです」


と、開口一番の前から嫌われていた。


「だって、若さってのが私は嫌いなのです、青臭い故に悩み、そして魔を滅ぼそうとする、その魔が何故、生まれたのか知らされないことだってあるでしょうね‥‥‥‥」


とか、そんな憂いを見せていた。


「‥‥‥予め報告書は上がっているよ、清瀬光己は悪魔憑きと言われてるのよ」


と、そういう風に返した。


「悪魔憑き?人間の悪意や邪気が魔物に匹敵するようになったのが平成という時代だった、人間が進化して次の領域ステージへとステップアップをしただけなのよ」


つまり、某大魔王にも匹敵するとかいう感じになっただけという仏教徒の視点だった。


なるほど、そういう視点さえもあるのか。


それは言い換えれば邪念とも言える。


「殴り合えば、戦い終われば全て万事上手くいく、全てが解決するなんてアニメやゲームだけのお話、現実は心の闇から生まれた名前のない怪物なんて無限増殖するのよ」


と、青田刈死導は説明を続ける。


鬼童正道はそんな言葉にこう返す。


「スッキリ喧嘩すれば無問題モーマンタイだったな、後腐れのない喧嘩だけが正しい」


と、何もかも彼女の意見を否定した。


そんな馬鹿げた正論でもない持論に対して青田刈死導はため息を漏らし、舌打ちをする、そして、更に、あんな事さえ付け加えようとして、外の銃声、轟音に驚いた。


「始まったわね‥‥‥」


青田刈死導はその音にうんざりとした。


闇削刑無はその背後から不意打ちとして放たれた弾丸を居合切りで斬り落とした。


「戦闘をしてきた年期が違う、あと、あらゆる犯罪者に対する知識量が違うんですよ、貴女のような小娘の思考は簡単で粗末だ」


闇削刑無は詰め囲碁を数百回こなしてきたかのような老獪さで彼女を否定をした。



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