第一話始まりは終わりと同じ②
「黙れ、この小心者がよ」
日枷護子は退魔銃を抜いて、暗獄寺終音に向ける、照準は頭部、もしも、当たれば脳漿が辺り一面に飛び散ってしまうだろう。
「お前は凡庸な悪みたいなもんだ、カリスマもあまりないように見える、今あるのは仲良しごっこではなく利害の一致と共闘だ」
暗獄寺終音はそれに対して悲しそうな顔をする、そして、その後、嬉しそうにもする。
「‥‥‥‥まぁいい、お前との関係性を清算するにはあまりにもお前が現れるのが遅い」
それはどういう業が巡ればそうなるか日枷護子にとっては理解不能であった。
強いて言えば十年前の悲劇は彼の著しい現実空間での孤独が原因であったともされる。
そこに青田刈死導が現れるまで数年間を経てしまった、彼の問題は歪んだ百八の煩悩であり、それは欲望という悪徳と
日本は和洋折衷、和魂洋才とも言える、あらゆる西洋文化、西洋の宗教を吸収しても日本らしさを醸し出し、現出させてしまう。
義、仁義、義理人情というのもある。
悪魔が一匹いてそれを倒せば済む、善悪二元論は安易だ、大魔王のような悪い人間はこの世にごまんといる。彼もまたそのようであり、彼以上の悪もあるだろう。
その全ての理屈が日枷護子は嫌っている。
無神論者、あらゆる神を信じていない、あらゆる神を疑心暗鬼している愚者である。
「お前をここで倒せば終わる、いや、終わらないかもしれない、蛇の頭を潰しても、残った蛇の肉の残飯を食う者もいるだろう」
暗獄寺終音はその意見に頷くが、それでも、なお、一応は一度、否定する事にした。
条件反射というやつだろう。
「お前の話は正論ではないぞ?」
とか、そんな詭弁を呈した。
そして彼はこうも付け加えた。
「正義の味方の話を描く時、正義の味方の功罪は考えない、悪質と悪辣について考えない、主人公を制定したらそれに無批判になることが多い、お前もまた間違っている、どっちもどっち、つまり俺とお前は似た者同士だった、しかし、今は認識にずれがある」
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