第一話始まりは終わりと同じ①
階段から誰かが降りる音がする。
その間にも暗獄寺終音は嘆息する。
「俺は正義感はある方だった、良心は全て捨てきれないのが人間の性質だろう」
二人はそれに苦笑いした。
その後方、リビングのソファーに男がいた、テレビはついてないが凝視している。
老年なのにストレス少なく髪は禿げてはない、脳波すら異常がないように見える眼光は穏やか、そして髭を蓄えている。
そして、刀を帯刀している。
「‥‥‥君は本来、善人の領域だよ」
そんな事を呟いた。
日枷護子はそれには見覚えがあった。
「
それに対して、彼はこうもぼやいた。
「‥‥‥さぁ、ここはもうすぐ封鎖されるだろう、君達はもう、帰りたまえ」
白原薫龍はそんな彼の違和感に気づく。
「いつも帯刀しているのじゃないのですね、なんですか、そんな禍々しい霊刀」
闇削刑無はそれを抜刀して、抜き身の部分を少し見せた、黒く、そして、赤かった。
「
そして、それをまた、刃を隠して見せた。
階段の降りる音はしなく廊下から違う男がその場所へとたどり着いてしまった。
キッチンへと続くだけの廊下からだ。
黒いサングラスをしてツーブロックの金色の短髪、後ろ髪の襟足を伸ばし、細く三つ編みにした黒い学ランをしているようだ。
「しっかり名乗ってやろう、
そしてそこにたどり着くまでの玄関からすぐの方の扉を開いたところからも来た。
白い特攻服を着た長い煙管を加えた妙齢だが若く見える美魔女な女性をしている。
「
そんな事をけだるけに名乗っている。
闇削刑無はその間に立ち上がり、白原薫龍と日枷護子の二人を見た。そして、宣戦布告をした。
「暗獄寺終音の直属となった我等、地獄の
日枷護子はそれで一言、真実を思い至る。内紛、内乱、内部分裂、獅子身中の虫、それどころか、真っ二つに国が分かれたような気がする、左翼右翼でも白黒でもない領域。
「もはや、この戦争は真に
鬼童正道はそんな事を宣言した。
そして、彼は全身を黒く放電していく。
「昂ってる!昂ってる!俺の心の底から正義の昂り!落ち着けられねぇ!邪悪の根源、元凶!それは特に、日枷護子、貴様だ!」
そんな風に情熱の怪気炎を巻き上げた。
暗獄寺終音はそんな有り様に感想をした。
「おい、愛というのは落ち着くという精神医学の命題から遠い立ち位置にある、今日日、犯罪心理学、司法心理学だってある、私はその命令に従っただけだとは思うがな‥‥‥」
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