第3話 ステータスの偽装
何かステータス欄には随分と高い数値が並んでいるのですが、私は確か女神のアリシアさんには平均でとお願いしたはずなんですけれど・・・。
これがこの世界の平均なのかしらん?
そう思ったエリカだったけれど、すぐにリリーに否定されてしまいました。
『確かに生きとし生けるもの全ての能力の平均と言えば平均ですけれど・・・。
この数値はちょっと高すぎますね。
多分、人族やエルフなど
例えば白龍とか玄武辺りを最高値として平均すると彼らの保有値の半分ぐらいになるでしょうから・・・。
そもそも人型種族でHPとMPの値は高すぎますし、それ以外の各ステータスもカンスト(カウントストップ)値の999にはならないはずなんです。
魔法スキルのLv10も、人型種族で保有する者はいません。
普通ならばLv5辺りが最高、英雄とか勇者辺りで精々Lv7まででしょうか?
これはある意味で「人」を辞めてもいいレベルだと思います。』
『あら、まぁ、それはまた困るわねぇ。
私は目立ちたくないから平均でとお願いしたのに・・・。
このステータスって他の人に見られることが有るのかしら?』
『エリカ様のレベルが高すぎて、鑑定しようとする者の鑑定レベルがいくら高くても見えませんよ。
何もしない状態で隠蔽がかかりますから・・・。
ですからどうしても必要な場合にはデコンシールで上書きしたものを見せるようにすればいいと思います。
平均的な数値がお望みならば、あくまで偽装にしか過ぎませんけれど、ハーフエルフの平均的な数値に置き換えておきましょうか?』
『ええ、お願い。
ただ、余り見下されない程度のレベルに抑えてくださいな。
絡まれると困りますから。』
『わかりました。
では、ステータス画面を開いてデコンシールと念じてください。
さもなければ私の力では上書きできません。』
エリカが「デコンシール」と念じると、すぐに画面の数値が変わっていった。
名前:エリカ・コヒナ
種族:ハーフエルフ(ハイヒューマン)
年齢:17歳
性別:女
職業:------
レベル:21(234)
HP(生命力) :100(500,000)
MP(魔力) :200(500,000)
STR(筋力) :15(999)
DEX(器用さ) :12(999)
VIT(持久力) :16(999)
INT(知性) :22(999)
MND(精神力) :19(999)
LUK(運) :8(999)
AGI(敏捷性) :16(999)
CHA(魅力) :12(999)
言語理解 :Lv3(MAX(共通言語ほか))
【身体スキル】
剣術 :LV3(10)
槍術 :LV2(10)
棒術 :LV2(10)
格闘術 :LV2(10)
斧術 :LV1(10)
弓術 :LV3(10)
【ユニークスキル】
錬金術 :LV2(10)
鑑定術 :…(LV10)
【魔法スキル】
生活魔法 :LV2(10)
水属性魔法 :LV2(10)
植物属性魔法 :LV3(10)
風属性魔法 :LV2(10)
光属性魔法 :LV2(10)
付与魔法 :LV1(10)
召喚魔法 :LV2(10)
精霊魔法 :LV2(10)
隠ぺい術 :…(LV10)
火属性魔法 :…(LV10)
金属属性魔法 :…(LV10)
土属性魔法 :…(LV10)
雷属性魔法 :…(LV10)
聖属性魔法 :…(LV10)
闇属性魔法 :…(LV10)
無属性魔法 :…(LV10)
時空属性魔法 :…(LV10)
調教魔法 :…(LV10)
【加護】
-------(女神アリシアの加護)
【称号】
-------
『見てお分かりの様に、全体の数値を下げた上で、「鑑定術」、「隠ぺい術」、「火属性魔法」、「金属属性魔法」、「土属性魔法」、「雷属性魔法」、「聖属性魔法」、「闇属性魔法」、「無属性魔法」、「時空属性魔法」、「調教魔法」及び「加護」については見えなくしております。
()内の数値は外部には隠蔽しているので見えません。
これでレベル21を超える者で鑑定能力を有する者や、ギルドや教会などにある選別用の魔水晶は欺けるものと思います。
但し、神獣など大きな力を有するモノには真実がわかってしまうかもしれないのでお気をつけ下さい。』
『わかったわ。
ところで、なぜ私の名前がエリカ・コヒナになっているのかしら?
コヒナタの筈ではないの?」
『それは単にイスガルドの慣行ですね。
ヒナ若しくはイナが付く姓の場合、タ行の文字は発音されず記述もされないのです。
「イナテス」や「ヒナトブ」という姓は大昔にはあったようですが、現在は「イナス」や「ヒナブ」という姓でしか残っていません。
ですからエリカさんの場合は「コヒナ」姓が正式と言ってよいと思います。』
『そう、ありがとう。
これで問題なく街へ行けるわね?』
『はい、一応は、・・・。
但し、町へ入る際に身分証の提示を求められますが、エリカ様はお持ちではありません。
その場合、銀貨1枚を街に入る際に徴収されますのでご注意ください。
街を出るときには徴収されませんが、入るたびに徴収されますので、冒険者、商人若しくは錬金術・薬師ギルドに登録して証明書をもらうと宜しいかと存じます。』
『あら、銀貨って・・・。
私、お金なんか持っていないわよ。』
『大丈夫ですよ。
エリカ様は空間魔法の使い手です。
エリカ様専用の特製インベントリに多少の物ならば入っています。
「インベントリ」と念じてみてください。』
リリーの指示に従うと、ステータスとは異なるホログラム画面が出現しました。
見た目は表計算ソフトのような目録です。
「金銭」の項目に「白金貨」、「大金貨」、「金貨」、「大銀貨」、「銀貨」、「大銅貨」、「銅貨」の欄があり、金貨-19、大銀貨-9、銀貨-9、大銅貨-9、銅貨-10があるようです。
リリーによると、金貨1枚で夫婦と子供二人の四人家族が贅沢をしなければ一月暮らして行ける程度の金額なのだそうです。
だから金貨1枚を前世の価値に直せば、20万円程度の価値になるのではないかと推測しました。
前世の様なお
白金貨一枚で二千万円ほどの価値がありそうですから、確かにお札は不要ですよね。
手持ちの金額は、おおよそ四百万円ほどですから、暫くは生活費に困りませんけれど、いずれ糧を得るための職に就かねばなりませんね。
冒険者ギルドは何となく危なそうなので、登録するなら商人ギルドか錬金術・薬師ギルドがいいかもしれません。
あら、そういえば、ラノベではよく治癒魔法なるモノがあって治癒師や神官・僧侶などが医師の代わりをしていると曾孫達に教えて貰ったことが有りますねェ。
私の魔法スキルは随分と沢山項目がありましたけれど、治癒魔法はありませんでした。
そのことをリリーに尋ねるとすぐに答えが返ってきました。
治癒魔法は、水、火、光、聖の各属性の中に含まれていて、それぞれに使えるようです。
私の場合、四種類の属性全てを持っていますので、治癒魔法は使えるようですよ。
因みにこの世界には、闇属性魔法に属する呪術があるので、その解呪のためには治癒魔法ではなくって闇属性魔法若しくは聖属性魔法を使うこともあるそうです。
他人に呪いをかけるなんて随分と恐ろしい話ですが、そもそも私には呪いそのものが効かないそうで、仮に呪いを試みたりすると自動反魂で呪術者そのものに呪いが返されるそうです。
全てはステータスのなせる業のようですヨ。
人型種族のレベル最高値はこれまで99だったそうですが、私がその記録を塗り替えてしまったようですけれど流石にこれは公表できませんヨネ。
私の偽装したレベル21も結構なレベルなのだそうで、冒険者ならばCランク程度になるそうですよ。
冒険者でCランクは中堅どころ、Bランク以上が上位冒険者になるようです。
あ、それとハーフエルフは左程多くはないようですが、それなりにこの世界にも存在するようです。
ハーフエルフとは、エルフ族と他のヒト型種族の混血の子であり、純血を尊ぶエルフからは
エルフは、コルラゾン大陸西部域に居留地があって、エルフ族以外の種族の共存を嫌っています。
従って、何らかの事情でハーフエルフが生まれた場合、その親であるエルフともどもエルフの居留地から追放されるようです。
エルフの居留地から追放されたエルフは、ユグドラシル・イオナの加護を受けられなくなるために長命のエルフとしては早死にするそうです。
生活環境が合わない所為でしょうかねぇ?
いずれにせよ私はエルフとヒト族との間に生まれたハーフです。
生まれ落ちたのがどこであるにせよ、エルフの居留地には住めないので放浪の旅にあるという設定のようですよ。
その意味で私の出自はコルラゾン大陸西方のエルフの居留地付近としておけばいいみたいです。
聞かれた時にはそう答えるようにいたしましょう。
==========================
12月12日、一部の字句修正を行いました。
By @Sakura-shougen
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます