第23話 Purple memory《紫のメモリー》
『お話の途中ですみませんが、ちょっとだけお時間を頂けますか?』
話の腰を折られた
「何よ?」
『
「へ? あ、うん、良いけど……」
タロちゃんは淡々とした口調で、私に手のひらを差し出した。
タロちゃんから、メモリーカードを要求されたのは初めてだ。
これも、バージョンアップされた新機能か?
私は動揺しつつも、メモリーカードケースから紫のメモリーカードを取り出して、タロちゃんの手に乗せる。
「はい」
『ありがとうございます』
にこりともせずにタロちゃんは、紫色のメモリーカードを受け取った。
謎にカッコイイポーズを取ると、自分のバックルにメモリーカードを
『変身!』
いやアンタ、「変身」って、特撮ヒーローじゃないんだから。
変わるのは、捜査内容と性格だけで、変身はしないでしょ。
それはそれとして、タロちゃんが自分でメモリーカードを
自分で挿させると、無駄にイケメンボイスで「変身」って言うのか。
ちょっと面白いから、今後は自分でメモリーカードを挿させよう。
私と鈴木
「変身」って言うのは、私も今初めて知ったけど。
鈴木
説明書には「
恐らくタロちゃんは、
さて、
『すみません、お待たせしました。話の続きを、お願いします』
「う、うん……」
「あのさ、X(旧Twitter)に『
『ええ、もちろん』
「ボットって、何?」
私が問うと、
私もアカウントは持っているけれど、完全に見る専。
アイコンもヘッダーも設定してないし、自己紹介欄にも何も書いていない。
好きな人をフォローしているだけで、X(旧Twitter)自体にはあまり詳しくない。
そういえば、「〇〇
分からないから、スルーしてたけど。
すると、
『簡単に言うと、自動的に決まった文章を
「へぇ、そんなのがあるんだ?」
「そ。事務所が勝手に作った、
紫太郎は
『その
「いつも
『ふむ……それで、その人達が何かして来たんですか?』
「最初はそんなに気にしてなかったんだけど、『アイドルを
「それは、お気の毒に」
いくら嫌いなアイドル業でも、
同情しかけたけど、
「この人達を、利用しない手はないって思ったわ。だって、あたし、アイドル
あ、そっち行っちゃいましたか。
『
「新しくアカウント作って、『そんなに
その話を受けて、
え? スマホまで持ってたの?
『これですね?』
「そう、それ! それからよ。
「どれ? 私にも見せてくれる?」
『どうぞ』
紫太郎が差し出したスマホを受け取り、画面を見る。
そこには、「
確かに、さっき
その
『掲示板の“アンチスレ”も、その話題で盛り上がっています』
「うん、あたしもそれ見た。アンチもファンの一部ってのも、分かる気がするわ。だって、『嫌い嫌い』言いながら、あたしのことずっと追ってんの。そこいらのファンより詳しいくらい」
『心理学的観点から言えば、好きも嫌いも相手に関心があるからこそ、生まれる感情なんです。だから、「嫌い嫌い」言いながら追ってしまう。本当に無関心だったら、見ませんからね』
「なぁんだ。じゃあ、アンチってただのツンデレなんじゃん」
「アンチが多いのは、人気の証拠」とも言うからね。
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