第19話 Lunch Break《昼休憩》
先日、新しく渡された追加説明書によると、システムアップデートにより、「充電中もメモリーカードの使用可能」となったらしい。
1枚だけ例外があって、「赤のメモリーカード」だけは、完全充電後じゃないと使えない。
しかも、
7時間充電して10分しか使えないって、
犯人確保用だから、使う機会はそんなにないけど。
さて、ここで使うメモリーカードは、黄色にすべきか、オレンジにすべきか。
「張り込み用」と「
正直、
かといって、
今回は
タロちゃんの電源を入れ、オレンジのメモリーカードを
例によって、ドヤ顔と低音ボイスで
『おはようございます、
「お、おはよう」
『はい、どうぞ』
「え?」
『昨日、張り込みで全然寝てないでしょう。私が代わりに
「ありがとう。じゃあ、
『はい、おやすみなさい』
子供の頃は、良いことをしたら頭を
大きな手で
いつから、頭を
大人になった今でも、頭を
そんなことを考えながら、うつらうつらと眠りに落ちていった。
「キーンコーンカーンコーン」という、聞きなれたチャイムの音。
その音を耳にして、反射的に飛び起きる。
「すみません、先生、寝てましたっ! って、あれ?」
キョロキョロと辺りを見回して、状況を
そうだった、見張り中に仮眠を
学校という思い出深い場所だからか、高校時代の夢を見ていた。
私も五年前は、高校に通っていた。
私はどこにでもにいるような、ごく普通の女子高生だった。
授業を受けて、テスト勉強をして、休み時間にクラスメイトと遊んで、放課後は部活動に励む、ありふれた日常があった。
シートを起こすと、橙太郎が笑い掛けてくる。
『おはようございます、良く眠れましたか?』
「あ、おかげで眠れたけど。今、何時?」
『12時0分30秒をお知らせします、1、2、3……』
時間を聞くと、
「もう、そんな時間っ? 私、めっちゃ寝てたんだ。
『先程のチャイムで、高校は昼休みに入ったようです。
「そうなんだ? 良かった。服貸してくれて、ありがとう」
『どういたしまして』
私が寝ている間に、何も起こらなくて良かった。
上着を返すと、
見れば、
電力を使い切った
このバッテリーって、
あとで、ロボット工学研究室の吉田さんに電話して聞いてみよう。
良く眠ったら、お腹が空いた。
私は
「こちら、田中。異常はありません」
――こちらも、異常なし。
「ちょっとお
――こちらは、交代制で
「そうですか、分かりました。では、私も引き
――分かりました。
どうやらみんなは、交代で
この学校では、昼休み中の外出は可能なのだろうか。
学校によっては、教員から許可を得ないと外出出来ないらしいけど。
私は「
一応、昼休みが終わるまではこのまま待機しよう。
お腹をグーグー鳴らしながら、昼休みが終わるチャイムが鳴るのを、今か今かと待ち続けた。
『お腹、鳴ってますよ』
「言われなくても分かってるよ」
お腹が鳴る度に、
昼休み終了のチャイムを耳にした直後に、
「よし! 鳴ったっ! 行くよ、タロちゃんっ!」
『はい、
警備員に引き
アパート前に車を止め、キーロックしてタロちゃんを車に残す。
家に戻ると、すぐにシャワーを浴び、適当に着替えてメイク。
ひとり暮らし用の小型冷蔵庫には、レンジでチンしてすぐ食べられる冷凍食品くらいしか入っていない。
食事は、ほとんど
食べたい物がなかったので、近場でお弁当とお茶とおやつを買った。
車で学校近くの駐車場まで戻って来てから、車内で食べた。
「食」という字は、「人が良くなる」と書く。
元気でいる為には、ちゃんとしっかり食べないとね。
睡眠も食事も
これで、午後も頑張れるぞ。
その後も、
やはり
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