New memorys
第11話 Restart《再開》
タロちゃんはシステムアップデートの為、
タロちゃんが実家へ帰ってしまったので、私も
盆、正月、ゴールデンウイーク以外に、まとまった休みを取れることなんて、なかなかないからね。
電話で「実家へ帰る」と連絡したら、お母ちゃんが不思議がっていた。
『
「『連続強盗殺人放火事件』の容疑者が逮捕されたっ
『ああ、知っ
「『警察官一名負傷』って
『え?
「
『そうねぇ?
「なら、行く
そんなこんなで、実家へ帰ることになった。
「アンタ、あんま無茶
お母ちゃんは、いつもみたいに私の体を心配してくれた。
「
お父ちゃんは
途端に、傷に激痛が走る。
「っちょっ、お父ちゃん、痛
「
痛みに
「お姉ちゃん、大丈夫
「うん、こんくらい平気平気っ」
最初のうちこそ、心配してくれていた妹だったが。
傷を理由に毎日ゴロゴロしていたら、「お姉ちゃん、邪魔」と怒られた……ひどい。
家族と過ごす、あったかくて
それなのに、いつもタロちゃんのことを考えていた。
朝、目が覚めると真っ先にタロちゃんの姿を探して、いないことを確認してガッカリする。
「おはよう、お姉ちゃんっ」
「おはよう、
「おはよう、
「……おはよう」
私のことを『
空っぽのポケットを探る
いくらポケットを探っても、メモリーカードは一枚たりとも入っていない。
タロちゃんと共に、鈴木
テレビの電源を入れる時、私の姿を映し出すタロちゃんの目が
無意識に、テレビに映るイケメン芸能人とタロちゃんを比べていた。
しかも、タロちゃんの方がよっぽどイケメンだと思ってしまう自分自身に驚いた。
「
「うん、美味しい」
お母ちゃんと一緒におやつを食べていた時、タロちゃんから『僕の代わりに食べて下さい』と、菓子を手渡される姿を思い出した。
久し振りに、湯船入ってゆったりとお湯に浸かった。
タロちゃんと出会ってから傷口が
お風呂は温かくて気持ちが良かったのに、何故か
一日の終わりには、必ずコンセントの位置を確認してしまう。
今まで寝る前には必ず、タロちゃんを充電しなくてはならなかった。
そうやって、いつもいつもタロちゃんのことを考えていた。
恋ってヤツは、本当にやっかいだ。
しかも、
「ごめんね……」
私は毎日、
あれから2週間近く、タロちゃんと会っていなかった。
背中の傷も
緊張しながら、
「入りたまえ」
「はい、失礼します」
部屋の中へ入ると、
そして、
「あ、タロちゃん!」
私はタロちゃんと
そんなこんなで、再会の喜びもひとしおだ。
「タロちゃん! 久し振りっ!」
「ん、んんっ!」
「あ、申し訳ございません……」
思わずはしゃいでしまい、
「
「久々に
私は、謝るしかない。
「申し訳ございません、失礼致しました」
「
心底呆れ果てた顔の
しばらくすると、
『そろそろ、良いか?』
「ああ、鈴木
やれやれといった口調で言う
『それは、構わない。田中君、君を呼んだのは他でもない。“加藤太郎君”のことだ』
「タロちゃ……いえ、『加藤太郎君』が、どうかしたんですか?」
鈴木
鈴木
『田中君も“加藤太郎君”の扱いに、慣れてきたようだからね! 新しいメモリカードを、試してもらおうと思ったんだよっ!』
「新しいメモリーカード? 今度は、どんなデータが入っているんですか?」
『よくぞ聞いてくれたっ! このオレンジのメモリカードは、
「『使ってみれば分かる』って……適当ですね」
鈴木
この人は、本当に相変わらずだなぁ。
そんな私に、鈴木准教授はサムズアップをしてニヤリと笑う。
『今まで通り、君の活躍には期待しているよっ!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます