【ー天災ー】56

 本当にビックリする位、東京の街並みは変わり果てていた。


 今まで都心部を象徴するかのようなビルも崩壊し今まであった街並みは本当に一変していたのを思い出す。 今まで住んでいた街がたった一回の大地震でここまでになってしまうものなんだと実感した瞬間でもあった。 一軒家もマンションも何もかも崩れている街。 道も電柱もひび割れ道路には割れたガラスが散乱していて歩けるような状態ではなかった。


 そこには生中継で放送されているより生々しい光景が下には広がっていたのだ。


 一体この中でどれだけの人が助かりどれだけの人が亡くなったのであろうか。


 今のこの状況では全くもって把握出来ない。


 そもそも電気さえ通ってもいないのだから今はその状況さえ分からない。


「とりあえず、そんな事言っても俺はまだアイツを許した訳じゃねぇからな!」


 考え事をしていた雄介だったのだが、フッと現実へと戻って来ると何やら和也と望が言い合いをしているようだ。


 考え事をしていた雄介は二人の会話は聞いていない。


 雄介は自然と和也と望の方へと視線を移す。


「雄介だってさぁ、きっと、理由があるんだと思うぜ。 だから、今回の事は許してやれよ」

「なーんだ? 和也は雄介の肩を持つのか?」

「別にそういう訳じゃねぇんだけどさ。 さっき、望だって言ってたじゃねぇか。 こういう時だからこそ、争うなって。 その言葉、忘れたとは言わせねぇぜ」

「……!?」


 そこで望は息を吐くと、


「……分かったよ。 協力はするけど、許しはしねぇからな!」


 そう言うと望は書類の方へと目を移す。 その望の行動はそういう話が苦手という事だ。 そこは昔から変わらない所でもあるのだから。 でも気になるといえば気になる所なのであろう。


「だってさぁ。 今の会話聞いてたんだろ? 雄介」

「あ、ああ……おう!」


 いきなり和也に話を振られて反応する雄介。


 やっとこれで二人の仲が縮められるチャンスなのだから。


「ほな、とりあえず、明日から頑張るかっ!」

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