【ー天災ー】55
いい加減、雄介の方も和也の言葉に黙っていられなくなったのか和也の事を睨みつけた瞬間、
「もう、止めろよっ! お前等なー! ちょっとは今の状況を考えろっ! 今はそんな事で争ってる場合じゃねぇだろうがよ!」
「……望?」
「望、何処に行ってたんだ?」
望は何処からか帰って来ると自分の椅子へと座るのだ。 そして和也はその後を追うようにして望の側へと向かう。
「あー! うるせぇな! トイレだよ! トイレ! そこ、自己申告しなきゃなんねぇものなのか!?」
望は顔を赤くしながらそう叫ぶように言うと、
「なんだよー、トイレだったのか……」
「それをでかい声で言うんじゃねぇよ。 まったく」
そう言うと望は和也の頭を軽く叩くのだ。
望からしてみたら相当恥ずかしい言葉なのであろう。 だがこういう風に当たり前の事が出来ているのだから、少し雄介の方は安心出来たように思える。
「ちょ、痛ったー!」
「当たり前だろ、今のは痛いように叩いたんだからな」
そんな二人のじゃれあいに微笑ましい笑顔をすると雄介はゆっくりとソファへと座るのだ。
そんな二人を見ながら今回の事を思い出す雄介。
そうだ今まで住んでいた場所で大きな地震があったと聞いて居ても立っても居られなかった。 そして地震が起きた時、真っ先に要請が掛かるのがレスキュー隊と自衛隊だ。 自分が入ってる所に要請があった時には本当に嬉しかった。 確かに嬉しかったっていうのはおかしいのだけど、やはりそこは仕方がないのかもしれない。 恋人が危険な目に遭っているのかもしれないのにジッと見ているだけなんて事は出来ない。 確かにテレビでは連日中継されていたのだが、それは都心部が多く望が住んでいる地域の情報はまったく入って来なかったからだ。 それに携帯なんか全くもって繋がらない。 恋人が危険な目に遭ってるかもしれないのに心配しない人はいないだろう。
地震が起きた後に現場へと向かう準備をしヘリコプターに乗り込み東京へと飛び立つ。 ヘリコプターはゆっくりと東京へと近付いて来た時、下に見えて来た東京の街並みだった。
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