【ー天災ー】53

「……で、雄介は何で望には何も言わずに東京を出たんだ?」


 そういきなり和也にそう振られて雄介は顔を俯けたまま黙っていた。


「何も言わないと話が続かないだろ!? 何とか言えよ! 望の事幸せにしてくれるのはお前じゃなかったのか!? 確か、俺、そんな事をお前に言ったよな?」


 和也の言葉が正論過ぎて雄介の方は、ますます言葉に出来なくなってしまっているようにも思える。


「ホンマ、スマン……」


 やっとのことで雄介の口から出たのは謝罪の言葉だ。


「あのな……謝らなきゃいけねぇって思ってるなら、何で、そんな事したんだよっ? そう言うって事は雄介は望に何で謝らなきゃいけないって事を分かってて言ってるんだよな? その理由が分かってなきゃ、謝る意味がないんだぜ。 だから、その理由を言えって言ってるんだ!」

「ホンマ、スマン。 その理由みたいなのを言うとただの言い訳にしか聞こえなくなってまうと思うし」


 それだけを言うと雄介は再び頭を俯かせる。


「そんな事で望がお前の事許せるとでも思っているのか!?」

「俺やってな、望の事心配で仕方なかったし。 今回、東京で地震があったって聞いて、レスキュー隊で東京に行くって言われた時に真っ先に自分から行くとは言ったんやで。 しかも、テレビでは連日のように東京で地震があったっていう事言っておって、ホンマは直ぐにでも行きたかったんやけど、俺等だって、それなりの準備もあったしな。 だから、直ぐには行けんかったんやって。 それにな、携帯もなかなか繋がらなかったし、俺やって、ホンマに望の事は心配で仕方なかったんやって。 ま、とりあえず、こっちに来れて、和也も望も無事でホッとした所やったんだけどなぁ」

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