【ー天災ー】47
周りなんて何も見えやしない世界。
これが本当の闇の世界というものなのであろう。
数百年前の世界というのはこの夜は闇だけの生活が当たり前だったのかもしれないのだが、今の時代というのは違う。 東京なんかはネオン輝く街として知られている位なのだから本当に夜なのに明るい街というのが普通だ。 だが今回の地震でその明かりは無いのだから今はその数百年前と同じ状況という事になるだろう。
今は明かりと言えば月だけが頼りの世界になっている。 今はその月さえも雲に隠れてしまっていた。
「今日はもう休もうか?」
「そうだな……」
今まで二十四時間休まずに動いていた体は今にも悲鳴を上げそうになってきていた。
まだまだこれから明日も暫くはこんな状態が続くのだから休める時に休ませた方がいいと判断した望と和也は明かりが無い中、手探りで寝室を探してベッドへと横になる。
本当に休んでいなかった体はもうベッドへと横になった瞬間といってもいいくらいに夢の中へと落ちて行ってしまっていた。
次の日も未だに体調が優れないままで起きる望と和也。 だが自分達は体調が優れなくても病棟にはそれ以上の患者さんが沢山いるのだから見回りを始める。
病院内の方はやっと落ち着きを取り戻したのかいつものと変わらない様子だ。
望と和也がそうやって患者さんの様子を見ていると院内にアナウンスが流れてくる。
『まもなく、この病院の屋上にあるヘリポートに救援物資が届きます。 空いている看護師やスタッフがいましたら屋上までお願いします』
そう救援物質が届くというアナウンスがあって和也と望は視線を合わせるのだ。
半分はどういう事だ? と半分は自分達が動かないで誰が動くんだ? という感じなんであろう。
「和也! 行くぞ!」
「ああ」
今この辺りにはヘリコプターが降りれる場所というのが、この病院の屋上しかないという事だ。 この周辺ではヘリポートが付いているこの病院しかヘリコプターが降り立つ場所もないのだから。
二人は非常用の外階段を使って屋上へと向かう。
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