【ー天災ー】48
カンカンカンカンという音を立てて階段を登って行く途中で見えて来た街並み。
今まであった街並みというのは本当に無い。
あんなに賑やかだった街並み。
毎日のように活気に溢れた街並み。
住宅が密集していた街並みは本当にどこにいってしまったのであろうか。
そこには今まで通りの街並みの風景はなく未だに所々に白煙が上がっている街並みだ。
きっと階下にはまだまだ助けを求める人達がいるのであろう。
その階下に広がる街並みを見ながら二人は屋上へと足を向ける。
その途中に青空の中見えて来た赤い一機のヘリコプター。
そのヘリコプターは大きな音を立てながら望が働いている病院へと向かって来ていた。 そのヘリコプターは病院に近付くにつれ爆音に近い音を響かせて向かって来る。
病院の屋上で一旦停止すると、今度はホバリングを繰り返しゆっくりとこの屋上へと降りて来るのだ。
望や和也はそのヘリコプターから出される風圧を避ける為に少し離れて所で待機をしそこで何気に見上げたヘリコプターには、
「……消防庁?」
『消防庁』で思い出されるのは望の恋人である雄介のことだ。
もしかしたら望の心の中ではこう思っているのかもしれない。
……まさか!? このヘリに雄介乗っているのでは!?
いや流石にそれはないだろう。
だって雄介は望の事を置いて他の所へ行ってしまって、もう望の事なんか忘れて他人だって思っているのかもしれないのだから。
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