【ー天災ー】46

 望はソファへと体を預け和也は「シャワーを浴びてくる」と言ってシャワー室に向かったのだが、その直後シャワー室から和也の叫び声が聴こえて来た。


「水もお湯も出ねぇじゃん!」

「……へ? そうなのか!? 俺も入ろうと思ってたのに?」


 ふっとそこで望は考える。 確かに今まで患者さんを助ける為に夢中になっていたから忘れていたのだが、これだけの大地震が起きているのだから、ライフラインは寸断されてしまっているのであろう。 ただここには自家発電がある。 自家発電しかないのだから電気だけは来るのだが水はパイプ管がこの地震で破裂や断裂なんかがしていて供給されていないもかもしれない。 いや病院には水用のタンクはあった筈なのだから一応水は供給されているのかもしれないのだが、病棟の方や診察室の方にはだけ今は供給されているのであろう。 そういう時というのは完全に患者さんの方が優先なのだから。 ガスの方はもう完全にストップ状態だった。


「ま、仕方ねぇか」


 今の条件はみんな一緒。 自分達だけという訳にはいかないからだ。


 そうだ今はこの建物は完全には壊れてはいないのだからそこはいいとしよう。


 だが未だ電気だって復旧していないのだから自家発電だっていつ止まってもおかしくはない状況だ。


 せめてライフラインだけは早く復旧して欲しいと思う二人。 いやそこは二人だけではない被災したみんなが思っている事だ。


 そう思っているといきなり部屋の電気が消えてしまう。


 それと同時にアナウンスも流れてくる。


「ただ今の時間……不必要な電気の方は消灯させていただきます」


と。


「ま、そういう事なら仕方ないか」

「……だな」


 大地震た起きた首都東京。


 もう地震から二日たった今でもライフラインは復旧していない。 寧ろこの大都会で起きたのだから復旧にも時間が掛かるだろう。


 今まで夜でさえもネオンが輝き明るかった街は今はもうない。


 今の東京の夜は自然の明かりしかない街となっている。


 そして夜は闇の中へと包まれるのだ。

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