【ー天災ー】30
恋人である望に隠し事とは一体どういう事なんであろうか。
まさか雄介に彼女が出来たとかいう事なんであろうか。
まぁ、確かに望は男だ。 女性ではない。 最初、雄介には女性だと間違われたけど今はちゃんと男性だと認識して付き合っているのだから。
もし、そうならば全然自分的には、いいというのか覚悟していた事と言えば覚悟は出来ているのだけど。
でも雄介はその事を望には話してはくれない。
望は気持ちが晴れないまま家へと向かう。
そうさっき雄介に「用事がある」と言ったのは嘘だ。
突き放すように言ったら、その隠し事を話してくれると思ったのだけど雄介は話してくれそうにもなかった。
きっとまだ望達はお互いの性格をちゃんと把握出来ていないのかもしれない。
だから今は心の探り合い状態だ。
『こうやったら!?』『相手はどう返してくるの?』きっとそういうやりとりで相手の性格を把握しようとしているのであろう時期だ。
一方望に突き放されてしまった雄介は賑わう街をただ一人歩いていた。
望とは喧嘩した訳ではない。 ただ雄介が一方的に隠し事をしてしまった事で望から突き放されてしまったという事だ。
雄介は色々な事を悩み考えながらさっき急いだ街を俯き歩く。
周りの人達が楽しげに会話を楽しんでいるのが聞こえてくる。 一緒に同僚と飲んだ帰りなのであろうか、騒ぎながら帰るサラリーマン。
夜の街を腕を繋いで歩いているカップル。
そうだ本当だったら雄介だって望に隠し事さえしなければ今頃はあの恋人達みたいに楽しい時間を過ごしていたのかもしれないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます