　昨日もしあんな事がなかったら今頃真っ直ぐ家に帰っていただろう。　そして望との約束の時間まで望の家で家事をやっていたという時間だ。

　だけど今はこうやって望の家には帰らずに外でボッーとしている。

　ここがもし人通りがある所なら、ずっとその場所に居ると変に思われるのかもしれないのだが、今は本当に人通りがない場所だ。　だから変な目で見られているという気配というのは無い。

　しかし動きたいのに体は動こうとはしない。　帰る所があるのに帰れない。

　でもここで何時間考えたって全然考え事はまとまらないのだから負のループ。

　人間ってそういうもんだ。

　負が続くと負はずっと続く。　そういう事というのは、いつまでも続いてしまうもんだ。

「はぁ……」

　もう何回も今日はため息が出てしまっている雄介。

　気付くともう外は夕方になっていた。

　カラスだって家に帰る時間だ。

　そして空がグラデーションへと変わる頃。　雄介のポケットに入れておいた携帯が震えだす。

『十八時十分

まだ、終わらないのか？』

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